ネクオロでした
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零の使い魔。 ~第九話~
2008-01-01 Tue 00:35

似たような種族なら、ド○クエで見たことがあるな。


                                               <ダンケ>
 
 
 
 公開私刑から一日経って。
 俺はドイツに来て、三日目の朝を迎えていた。
 にしてもドイツの科学の力はすごいと思っていたが、まさか骨折が一日で治るとは驚きだった。
 確か……『水の秘薬』とか言っていたっけ。
 相当高価なものらしいから別にいいと言ったんだけど、ルイズは聞く耳を持たなかった。
 要するに、俺はまたしても彼女に借りを作ってしまったということだ。
 本当に人生というのはうまくいかないなぁ、などと再実感してしまった。
 ゴシゴシと、冷たい水に耐えながら下着を洗う。
 俺にできる仕事は限られているとは言え、このままの生活を続けるわけにはいくまい。
 どうにかして、履歴書のない俺でもできる仕事を探さないと。
 そしてお金を稼ぎ、ルイズに借金を返した上で飛行機械をプレゼントするのだ。
 洗い終えた下着を絞り、籠に入れて肩に担ぐ。
 今日は『虚無の曜日』という、日本で言う日曜日。
 当然ながら授業もないので、今日はルイズと一緒に街に出かける約束をしていた。
 俺としては職探しに行くつもりなのだが、彼女はどうやら違う目的があるらしい。
 ルイズ曰く「使い魔のあんたがあんな物持ってたら、私までケチ臭く見られちゃうじゃない」……らしい。
 その「あんな物」が何を指しているかは未だに不明である。
 あ、あとナイフはちゃんと食堂に返した……と言うか、ルイズに取り上げられた。
 あの超振動ナイフは、やはり食堂の備品らしい。
 食料泥棒対策にしては物騒過ぎる気もするが、地面から銅像生やしたりする国なのでもう驚かない。
 と言うか、実はナイフを手放すことができてほっとしている。
 スイッチらしいスイッチがないから、いつ誤作動するんじゃないかとビクビクしていたのだ、実は。
 おそらくはルイズもそれを見越して回収してくれたのだろう。
 やっぱり、彼女はとても優しい娘だと思った。
 長々とした廊下を歩いていると、見知った人物と出会った。
 あの黒髪の映える素敵なメイドさんだ。
「あ、使い魔さん! 決闘の話、聞きましたよ!」
 俺を見つけたメイドさんがパタパタと駆け寄って来る。
 別に決闘などした覚えはないが、もう何度も間違われているので何を指しているかはわかっている。
 決闘とは、あの風紀委員による公開私刑のことだ。
「私、感動しました! 平民でも貴族に敵うんだって! もう脅える必要はないんだって!」
 目をキラキラと輝かせながら、嬉しそうに語るメイドさん。
 そうだね、という意味を込めて頷いておく。
 きっと彼女も、あの風紀委員の横暴に悩まれてきたんだろう。
 科学の勝利だったとは言え、悪の芽を叩き潰すことができて良かった。
 これで少しは俺も学院の平和に貢献できただろう。
 そして、俺の主たるルイズも馬鹿にされることはなくなる筈だ。
 全てが偶然の産物だったが、結果良ければ全て良し。
「あの……」
「……どうした?」
「お名前を聞かせてもらっても……いいですか?」
 上目遣いでそう言うメイドさんに、一瞬ドキッとした。
 これだけで頑張って良かったと思えるんだから、男というのは幸せな生き物だなぁ。
「……ダンケ、だ」
 皆がダンケと呼んでいるのに、彼女一人だけに本名を名乗るわけにはいかない。
 ちょっとした罪悪感が持ち上がるが、俺はそれを飲み込んだ。
「ダンケさん……ですか。私はシエスタといいます。よろしくお願いします」
 深々と頭を垂れるメイドさん―――シエスタ。
 釣られて俺も頭を下げる。
 二人同時に顔を上げ、視線がぶつかること数瞬。
 先に口を開いたのはシエスタの方だった。
「あの……助けて下さってありがとうございました!」
 顔を赤らめながらそう言い、再び大きくお辞儀をする。
 頭を下げた拍子にその黒髪が宙を舞い、ふわっとしたいい匂いが漂ってきた。
 それはそうと……助ける?
 俺は一体いつ、彼女を助けたんだろうか。
 疑問に思い尋ねると、一昨日の水汲み場での一件のことだと教えてくれた。
 あぁ……あの何がどうなったかよくわからない間に終わったあれか。
 病弱少年の心の闇を垣間見た事件と言う方が適切かもしれないが。
 大したことはしていないと本当のことを言うと、シエスタにすごく驚かれた。
 何でも、平民が貴族に勝つのはとても難しいことらしい。
 金があれば高価な機械が買える。
 そしてその機械を使って、貧しい人たちを苦しめる。
 本当に最低だな、大多数の貴族連中は。
 貴族全員と言わないのは、少数ながら心の優しい貴族を知っているからだ。
 ルイズとかタバサとかキュルケとか……あとは、ギーシュも一応該当する。
 あの私刑の後、自分の愚かさに気づいたのかギーシュはルイズと俺に謝罪した。
 そしてどういう流れでそうなったのか甚だ疑問だが、俺のことを師と呼びたいと言ってきたのである。
 無論、俺はそんな風に呼ばれる人間じゃないからと断ったが、なかなかにあの少年は頑固な一面を持っていたらしい。
 結局、師と呼ばずに名前で呼んでもらうことで決着がついた。
 強く殴り過ぎたせいで、おかしくなったのかと一瞬思ったのは内緒である。
「何かあれば……言うといい。できる限り……力になろう」
「は、はいっ! ダンケさんも今度ぜひ厨房にいらしてくださいね! コック長があなたに会いたがっていましたから。……それに私も……。そ、それでは、私はこれで失礼します!」
 何かボソボソ呟いたと思ったら、シエスタは走り去って行ってしまった。
 厨房……か。
 よし、早速明日にでも行ってみよう。
 食事面に関してルイズは恵まれているようだし、その点で俺が後ろめたさを覚える必要はない。
 それに使い魔の食事が具のないスープと硬いパンのみ、というのはさすがにどうかと思う。
 黙って食べているとルイズが自分の分を少し分けてくれたが、毎回彼女の食事を奪うわけにはいかない。
 かと言って空腹を我慢していたら、いざという時(バイトの時とか)に力を発揮できない可能性がある。
 一時はタバサに図書館で借りてきてもらった『食用雑草大辞典』を使って、本気で草を食べようと思ったが、その必要はなくなりそうでほっとした。
 つか、俺って何故かドイツ語は話せても、文字を読むことはできないんだっけ。
 危ない、危ない。
 またルイズに要らぬ迷惑をかけるところだった。



 ルイズに馬を借りてきてくれと頼まれた。
 車じゃないのかと思ったが、彼女の年齢では免許を取得できないことを思い出して寸前のところで言い留める。
 一応、俺は普通免許を持っているけど、あくまで日本のものなので意味がない。
 つくづく役に立たない男だな、俺は……。
 さて、話は変わるが、残念なことに俺は馬小屋の場所を知らない。
 と言うか、俺が迷わずに辿り着ける場所はルイズの部屋と食堂、そして水汲み場のみなのだ。
 迷っていると見られるのも恥ずかしいので、ジョギングするフリをしながら馬小屋捜索に勤しむことにした。
 いい加減に体を鍛えないのダメだと思っていたし、丁度いい機会だろう。
 ……こっちを見てクスクス笑うのはやめてほしい、傷つくじゃないか。
 五分ほど軽く走って足が痛くなり始めた頃、運良くタバサ嬢と遭遇した。
 いつも通り、彼女は大きな杖と分厚い本を手にしている。
 この前(昨日)、さりげなくあの杖について訊いてみたら驚くべき答えが返って来た。
 何とあの杖は特別な物らしく、いくつものギミックを内蔵しているのだと言う。
 俺を一時的に拘束した不可視の鎖は、あくまでその一つに過ぎないらしい。
 具体的には風系統の力が宿っているとかで、タバサはそれらを扱ういくつもの技能を既に修得しているのだとか。
 破壊力の高い魔法も唱えられる(魔法を唱える=機械を起動させるという意味だ)と言っていたので、おそらく彼女は危険物取扱いの免許も取得しているのだろう。
 その歳で大したものだと言ったら、彼女は僅かに頬を染めて喜んでいた。
 俺よりも表情が豊かで少しだけ羨ましく思ったのは秘密である。
「どうかしたの?」
 何て声をかけようかと悩んでいたら、彼女の方から口を開いてくれた。
 同じ無表情属性を持つ者同士、やはりどこか通じるところがあるのだろうか。
 っと、ぼーっとしている場合じゃなかった。
 自分に課せられた任務を果たさなければ!
「馬小屋の場所を……教えてほしいのだが」
「馬小屋?」
 僅かに首を傾げるタバサ。
 これはきっと馬の使用用途を尋ねているんだろうと推測する。
「主と街に行くのに……必要なんだ」
「……そう」
 今度は何かを考え込むように、タバサは軽く目線を足元に落とす。
 もしかして彼女も馬小屋の場所……知らないのだろうか?
 だとしたら申し訳ないことをしてしまった。
 優しい彼女のことだ。
 案内できなかった自分を責めてしまうかもしれない。
 こうなればいっそのこと……馬から話を逸らしてしまおう。
「他の手段があれば……そちらを採用するのだが」
 具体的にはバスとかタクシーとか。
 後者はお金がかかり過ぎるからパスするとして、前者は結構いい案だと思う。
 でも、馬を借りるのは無料みたいだし……やっぱり馬になるんだろうか。
 タダというのはそれだけで魅力的だからなぁ。
「シルフィード」
 ……ミルフィーユ?
「私の使い魔」
「……君の?」
 タバサの使い魔……。
 あ、そうか。
 ルイズが俺を召喚したように、タバサも何かしらの動物を召喚したということか。
 そしてその名前が『シルフィード』。
 なるほど、掌握した。
 だけど、それが此度の件とどういう関係があるんだろう?
 胸中で首を傾げていると、不意に口笛の澄んだ音色が響き渡った。
 視線を戻せば、タバサが空を見上げている。
 釣られて俺も視線を真上に固定した。
 ……ん? 黒い影が近づいてくる……?
 まだ距離があるので何が接近しているかはわからないが、結構大きな物体が高速で飛来しているだけは確かだ。
 そして徐々に鮮明になっていく影の正体。
 バサバサと羽音を響かせて降下してくるのは……って、青いトカゲ!?
 風圧からタバサを庇いつつ、薄目を開けて大青トカゲを確認する。
 口がある、青い、牙がある、鱗がある、青い、尻尾がある、青い。
 おぉっ!? 勝てる気が一つもしないっ!? 
 一体何を食べればそんなに大きくなるんだろうと思ってしまうほど、そのトカゲは大きかった。
 どう見繕っても六メートルはあるだろう。
 いや、尻尾の長さを含めたらもっと大きいかもしれない。
「シルフィード」
 地面に降り立ったトカゲを指差しながら、タバサが言う。
「私の使い魔」
「…………」
 ……マジですかっ!?


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この記事のコメント
あけおめ
あけましておめでとうございます。

ゴホンッ、さっそくですが、ダンケダンケダンケダンケダンケダンケダンケダンケダンケダンケダンケダンケで始めさせていただきます。

ニトクリスの鏡でした。

難波湾
2008-01-01 Tue 01:27 | URL | ニトクリスの鏡 #mQtf7wM.[ 内容変更]
初ダンケ!!
きっとルイズの魔法はベギラゴンですね。
闇編も楽しみです。

今年も楽しませていただきます。
2008-01-01 Tue 18:40 | URL | kou #8sp/3iLM[ 内容変更]
あけましておめでとうございます。

張り合ってるなぁタバサw
デルフ登場までもう少し。
デルフはダンケの数少ない友達になりそうだww

月並みですが、これからも頑張ってください!
ではでは。
2008-01-01 Tue 21:39 | URL | NAND #-[ 内容変更]
・・・・ミルフィーユ?
↑これワロタwwwww最高wwww
2008-01-02 Wed 04:40 | URL | ブリ #-[ 内容変更]
明けましておめでとうございます。

こんな序盤からタバサが可愛いです。
でも、何故かダンケの方が可愛いですw

次回の『闇』サイド、楽しみにしてます。
2008-01-02 Wed 10:11 | URL | テンテン #-[ 内容変更]
>似たような種族なら、
こんな事彼女の前で言ったら、もっと勘違いされそうですね。

今年も楽しませていただきます。
2008-01-11 Fri 23:36 | URL | 夢幻の戦士 #LOLorWpQ[ 内容変更]
はじめまして
一話から九話まで読ませてもらいました。
久々に声を立てて笑わせてもらいました。
続き楽しみにしています。
2008-01-22 Tue 15:44 | URL | ながお #u2lyCPR2[ 内容変更]
はじめまして
 原作を知らないけど、最近ゼロの使い魔の二次を読んでて流れ着きました。
 彼が異世界だと気づくのはいつでしょう?魔法と使い魔達をみて、科学と思ったままの彼の思い込みっぷりがすごい…。二つの月を見た反応が楽しみです。
2008-01-24 Thu 23:57 | URL | 凡士 #.eQIPYcs[ 内容変更]
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