ネクオロでした
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零の使い魔。~タバサ視点~
2008-02-02 Sat 17:17

どうにもあの子に誤解されてる気がするんだよなぁ。

あれからたまに目が合うと頷かれるし……俺は日本のスパイだとでも思われてるのかなぁ。

                                               <ダンケ>


私は……ゼロなんかじゃないんだ……。
                                               <ルイズ>

彼が伝説の使い魔……。

                                               <タバサ>

あたしの出番―――はぁ、もういいわ。



                                              <微熱さん>
 
 零の使い魔。   ~タバサ視点~


「ダンケ! そいつを倒しなさい!」
 タバサの説得が功を奏したのか、ついにルイズが己が使い魔に命令を発した。
 刹那、今までの劣勢が夢幻だったかの如く、使い魔――――――ダンケが青銅のゴーレムを切り刻んでいく。
 どうやら、あのメイジの力量では一度に生成することの出来るゴーレムの数は七体が限度だったらしい。
 数で相手を圧倒するという戦略がいとも容易く破られた今、もはやあのメイジに成す術はない。
 平民がメイジに勝てるわけがないと高を括っていた大多数のギャラリーたちの顔には、驚きと困惑の色が見て取れる。
 顔を青褪めさせている少数の者たちは、上級生でそれなりに腕の立つメイジなのだろう。
 ダンケの力量を推し量ろうと此度の一件に参加した彼らに与えられたのは、平民がメイジを真っ向から叩き潰す瞬間という、彼らにとっては悪夢以外のなにものでもないものだった。
 ダンケがメイジの顔面に拳を打ち込んだ。
 殴られたメイジはゴロゴロと芝生の上を数メイルほど転がり……停止した。
 ざわざわとギャラリーたちがざわめき始める。
 会話を拾ってみると、その大半がメイジが死んだと思い込んでいる内容だった。
(……洞察力が足りない)
 タバサの視線のさきでは、大の字になったメイジの指先が小刻みに動いている。
 当然ながら死んでなどいない。
 そもそも、黒髪の使い魔はメイジを殴る際に明らかにアクションを大振りにさせていた。
 あれはおそらくメイジに避けさせる、もしくは心構えをさせるための一撃だったのだろう。
 だからこそ見た目が派手だったのにも関わらず、対象に与えたダメージは最小限に留まらせている。
(……すごい技術。あれは私には真似出来そうにない……)
 タバサは胸中で感嘆の息を吐いた。
 あの芸当を出来るのは頭に超が付くほど平和ボケした世界で過ごした者か、昼夜を問わず戦場を駆け抜け、体術の極意を習得した者かのどちらかだ。
 そしてダンケに限って前者のわけがなく、必然的に彼は後者の側に属する人間となる。
「―――っ!? ま、参った! 僕の負けだ!」
 僅かに腫れた頬を押さえ、メイジが自らの負けを認めた。
 もはや彼を嘲笑する者はこの場にはいない。
 ここに集っている者のほぼ全てが、ダンケの強さを暗に認めていたからだ。
 ほぼ全てと言うのは、これだけの立ち回りを見せ付けられてなお、メイジこそが至上の存在であると親から言い聞かされて育った極々少数の者たちがいるからである。
 彼は口々に「ギーシュが弱いだけだ」だの「所詮はドットのメイジだ」だの喚いているが、明らかにその口調は弱々しい。
「う、嘘でしょ……。ホントに勝っちゃった」
 タバサの隣で呆けるように立ち尽くしていたルイズが呟く。
「これが彼の力……しかもまだかなりの実力を隠している」
「普通じゃないとは思っていたけど、まさかこんなに強かったなんて……。あいつ、一体何者なの?」
「わからない。ただこれだけは言える」
 タバサはルイズの鳶色の瞳を一瞥し、静かに言った。
「その彼を召喚したのは貴女。少なくとも貴女は……ゼロなんかじゃない」


 決闘騒ぎのあった晩、タバサは図書館に篭って一人、調べものをしていた。
 彼女が探しているのは、決闘の最中、あの黒髪の使い魔の左手に輝いていたルーンについて記された書籍。
(あのルーンの形、私の記憶が確かならば……っ!)
 そんな彼女の目が一冊の本の前で止まる。
 教員のみ閲覧の許された書籍のみが並んだ本棚の一角に、果たしてそれはあった。
 司書の目がこちらに向いていないのを確認し、こっそりと魔法を行使して一冊の本を引き抜くタバサ。
 パラパラとページを捲り……ある一ページでピタリと止まる。
 その項目には、様々な形の紋様が描かれていた。
(……見付けた)
 彼女の目が、常人にはわからぬ程度に輝く。
 外見からは判断出来ないだろうが、今の彼女は喜びに満たされていた。
 再び司書の目を盗んで本を元の棚に戻し、タバサは何食わぬ顔で図書館を後にする。
(彼ならもしかすると私を……)
 窓から差し込んだ二つの月光が彼女の顔を照らし出す。
 脳裏を過ぎるのは、幼い頃より憧れていた童話の勇者さま。
 その頬は僅かに……ほんの僅かにだが赤くなっていた。


 かつて始祖ブリミルに仕えたとされる伝説の使い魔の一人―――『ガンダールヴ』。
 どこでなにを間違ったのか、そのルーンを受け継いだのは平和な現代に生きる一民間人だった。
 炎や氷、動く石像と相対しながらなおハルケギニア(=異世界)をドイツだと信じ込んで止まない彼。

 曰く、ドイツの科学力はヤヴァイ。
 曰く、ルイズの家は本当はすごい貧乏。
 曰く、貴族専用トイレを平民が使おうとすると私刑に遭う(体験済み)。
 曰く、る~ん♪ はなんだか楽しそう(な響き)。
 曰く、月は……出ているか?

 そんな彼のことを凄腕の傭兵やら暗殺者やら酷い勘違いをしている面々と共に、今日も彼は往く―――。

別窓 | 零の使い魔。 | コメント:7 | トラックバック:0
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この記事のコメント
更新お疲れ様です!

零魔読みました。
・・・惜しいなぁタバサ、前者なんだw

次も零魔だということで、更新楽しみにしています。
では体調に気をつけて頑張ってください!
2008-02-02 Sat 19:53 | URL | NAND #BxQFZbuQ[ 内容変更]
タバサ・・・GJ!
更新待ってましたぁ!

この温度差がなんとも言えませんね。
なんというフラグの立てっぷり。

微熱にも愛の手を・・・。
でも彼女の立ち位置はこんなものかも・・・。

ダンケよ、どこに往くのだ?
2008-02-02 Sat 21:52 | URL | kou #8sp/3iLM[ 内容変更]
タバサぁっー、前者、前者!!
そしてダンケ、最後の思考オカシイ!!
皆ド真面目に空回ってるのがとても面白いです。
うん、皆がんばれ。
2008-02-02 Sat 23:04 | URL | カタカナ #d44vb1iY[ 内容変更]
一気に読んでしまった。
よくある勘違い系なのに、こんなに大笑いしたのは初めてでした。
続きを楽しみにしています。

それと、時々ダンケがいう「掌握した」は「把握した」の間違いではないですか?
2008-02-05 Tue 04:51 | URL | neo #EBUSheBA[ 内容変更]
すごいですね
ここまで笑える二次創作を読んだのは久しぶりです
何だか先の展開が予想できるようなできないような……
ですが、非常に楽しく読ませていただきました
是非、更新頑張って下さい
2008-02-08 Fri 22:22 | URL | アルト #TaKwfYoE[ 内容変更]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2008-02-09 Sat 14:20 | | #[ 内容変更]
ダンケ(仮)君が良いなあ……
彼なら双月を見ても
「日本からは観察できない大型人工衛星」
か何かだと勝手に勘違いしそうです。

ところでルイズとタバサが余りに可愛いんですが、どういったことでしょう。
2008-02-14 Thu 09:10 | URL | #QjzkEOgs[ 内容変更]
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