ネクオロでした
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零の使い魔。~聖十字の騎士~ 第十三話・光
2009-06-14 Sun 21:08
どうにも話が繋がっていない気がするよ。

にしてもドイツにもあったのか、将来子供が泣きそうになる名前問題。

                                                  <ダンケ>

 ~光~

 タバサ、かわいいよタバサ。
 王城の庭―――それも目立たない位置に移動した俺とタバサは現在、向かい合って立っている。
 互いの距離は二メートル? くらいだろうか。
 お腹でも痛いのか、タバサはどうにも調子が悪そうだ。
 もしかしたら、俺と同じで胃腸の弱い体質なのかもしれない。
 それとも、ずっとパジャマ姿だったからお腹が冷えてしまったのかも……うん、そっちの方が可能性は高そうだ。
 空の上はお世辞にも快適とは言えない環境だったし、ルイズも寒そうに俺にくっ付いていたぐらいだ。
 薄着のタバサが体調を崩している可能性は十二分にある。
 ……さて、どうしたものか。
 お城の中には薬ぐらいあるだろうし、あまり乗気じゃないが中で薬を貰って来ようかなぁ。
 胃腸の弱い者同士、腹痛の辛さは誰よりも分かるつもりである。
 ましてや、目の前で女の子が苦しんでいるのならば、それを見捨てて置くことなど出来る筈がない。
 それじゃあ、ちょいと行って来ますね―――そう思った時だった。
「貴方は……どこまで知っているの?」
「……知っている、とは?」
 いかん。困惑のあまり、ガン見してしまった。
 質問を質問で返すことが失礼なのは知っている。
 だが、この状況ならば誰だってそうするだろう。
 タバサが唐突に投げかけて来たその問いは、あまりに抽象的な物だった。
 ……胃腸の話? いや、流石に違うか。だとしたらいったい……。
「わたしのこと」
「……君の?」
 コクリと頷き、タバサは未だかつてないほど真面目な表情で俺を見つめている。
 よくは分からないが、彼女にとっては重要な話題のようだ。
 しばし考え、俺は思ったことを口にした。
「……魔法学院の生徒。魔法使い。そして、シャ―――」
 ……何だっけ?
 確かシャバ何とかいう称号を貰っているとかいないとか、学院長が言っていた気がする。
 だけど、肝心の名前が浮かんで来ない。
 自信のない言葉を口にするのもおかしい気がして、俺は言い淀んでいた。
 よし。決めたぞ。
「今のは……聞かなかったことにしてくれ」
 余計なことを言って怒らせるのはまずい。
 誰だって女の子に嫌われたくはあるまい。それが可愛い子ならば尚更である。
 ……あれ?
「…………」
 どういうわけか、タバサはその長い杖を俺に向かって構えていた。
 ……やっぱり、先の発言が気に入らなかったのだろうか?
 タバサの杖の機能は“風を操ることが出来る程度の能力”。
 風の塊が飛んで来たら相当に痛いし、風の鎖で目標を縛り上げることも可能な便利道具だ。
 ただ、どうにも杖を見慣れていない為か、いまいち恐怖を感じない。
 シシャクの杖のように剣のような形状ならば話は別なのだが。
 で、問題はどうしてタバサが俺に杖を向けているか、なわけで。
 俺の発言が気に入らなかったという考えが最初に過ぎったけど……いつも冷静なタバサが、果たしてその程度のことで怒りを露にしたりするだろうか?
 彼女の反応を窺えば、その視線は左右に揺れていた。
 手にした杖も、心なしかカタカタと震えている気がする。
 ―――まさかっ!?
 慌てて背後を振り返る。
 タバサが俺に杖を向けたのではなく、俺の背後に居る何者かに杖を向けたと考える方が自然なことに気付いたのだ。
 振り返った先には……誰も居なかった。
 だが油断は禁物だ。
 この世界は魑魅魍魎が普通に跋扈する世界。
 分身する輩が居るのだ。姿を消す妖怪が居ても何ら不思議はない。
 心の目で、心の目で見れば自ずと敵の姿が見えてくる……はず!
 必死になって目を凝らしていると、背後から声が掛かった。
「……どうして?」
「…………」
「どうして、貴方はわたしに背を向けた……の?」
 肩越しに振り返って絶句した。
 タバサの瞳の端に涙が光っている。
 杖を握っていない方の手は、パジャマの裾を強く握り締めていた。
 愕然とした。
 今まで気が付かなかった自分に腹が立つ。
 この子はそんなにも―――お腹が痛かったのか。
 考えれば、ココは非常時に要塞にもなるお城の中だ。
 いくら悪霊とは言え、幾重にも結界とか張られているだろうココにそう易々と侵入出来るとは思わない。
「……大丈夫か?」
 会話が成立していないのは重々承知している。
 だが何より優先すべきは腹痛に苦しみ、涙を流す少女を救出することだ。
 不安にさせないよう、慎重にタバサへ歩み寄る。
 杖を持つ手が震えているのは、それだけ彼女を襲う痛みが激しいという表れに違いない。
 どうして杖を向けたのかは分からないが、そんなことはもうどうでも良かった。
 杖が少し邪魔なので、手で向きを変える。
 木目とかあったから木っぽいなぁ、とは前から思っていたが、どうやら本当に木で出来ているらしい。
 まあ、あくまでそれは表向きで、中には携帯電話がオモチャに見えるような精密機器が詰まっているんだろうが。
 ビクリとするタバサ。
 しゃがんで彼女に目線を合わせ、依然として小刻みに震えているその手を取る。
 うわぁ、小さい手だなぁ。何か同じ人間とは思えないほどスベスベしているし。
 ―――っと。落ち着け、冷静になるんだ。
 このままじゃ、俺はただの変態じゃないか。そんな目的で、俺はこの行動に出たわけじゃない。
 怪しい奴じゃない、危険な奴じゃない、変態じゃない、ロリコンじゃない、強面―――なのは否定しない。
 そんな様々な感情を内包した言葉を紡ぐ。
 同じ無表情仲間同士、きっとタバサなら正しくこの意味を理解してくれる筈だ。
「俺は……味方だ」
「……っ!?」
 タバサが目を見開く。
 その拍子に、涙の滴が頬を伝って落ちた。
 痛みを忘れるほど衝撃を受けた、ということでしょうか?
 もしかして、俺は彼女にずっと変態だと思われていたんじゃ……い、いや、そんな筈は!?
「……分からない」
「…………」
 ……俺も分からない。
 いったい何が分からないのか、分からない。
 そもそも、どうしてこんなことになったのかが分からない。
「わたしには貴方が分からない。……貴方はいったい……何者?」
 そこに居るのは、いつもの無表情なタバサではなかった。
 路頭に迷った子供のように、その顔には不安が渦巻いている。
 お腹が痛いとかそんなレベルの話ではないと、俺はここでようやく思い至った。
「……日本人だ」
「……ニホン?」
 タバサの言葉に頷き、日本のことを簡単に説明する。
 とは言え、生まれ育った国を第三者に説明するのは予想以上に難しい。
 とりあえず、分かり易いところから伝えたつもりではあるが……理解出来たかどうか怪しかった。
 途中、どういうわけか歴史の話も交えた気もするし、在り得ないほどカオスな説明になっていただろう。
 タバサが馬鹿なわけがない。俺の説明がド下手なだけ。
 口下手の俺にとって、説明文はもっとも忌避すべき敵だった。
 独国とは別の国だということ、平和に暮らしていたら突如として拉致されたこと、ルイズにはとても感謝していること。
 この三点だけはしっかりと伝えた……と思う。
 タバサはしばらく俺の顔を見つめた後、意を決したように口を開いた。
「聞いて欲しい……わたしの名は―――」
「タバサ……だろう?」
 自分で良いこと言ったという自覚があるので、少しだけ得意げな俺だ。
 いや、普通に良い名前だと思うよ。
 俺のダンケよりよっぽどドイツらしいし、言い易いし、覚え易い。
 俺の場合、日本人なのに横文字の名前とか、その時点で色んな方面にケンカ売っている気がする。
「……いいの?」
 ……何が?
 分からん。さっぱり分からん。
 話がまるで繋がっている気がしない。
 ―――いいの?
 この単語で思い浮かぶことと言えば……む、もしや。
 以前、ルイズが俺に話してくれた記憶がある。
 この国で「タバサ」というのは犬猫に付けることが多い名前……らしいのだ。
 ひょっとして、密かに自分の名前のことを気にしているのか?
 日本では子供にものすげー名前を付ける親御さんが増えている。
 将来、子供が大人になった時に苦労するだろう名の数々が思い浮かぶ。
 タバサは外見こそ幼く見えるが、実際は……十二くらい? 十三? 
 まあ、そんな感じだろうきっと(注:十五歳です)。
 ある程度年を取ると、そういうのが気になるようになるからなぁ。
 俺にも経験があるよ。主に目付きのことで。
「俺は……構わん。君はどう思っているか知らないが……少なくとも、俺は気にしない」
「……ありがとう」
 両手で持った杖を胸元に引き寄せ、ペコリと頭を下げるタバサ。
 その頬は桜色に染まり、瞳は潤んでいる。
 ……そんなに名前のことを気にしていたのか。
 俺の拙い励ましが少しでも彼女の支えになったのならば、これ以上嬉しいことはない。
「何かあったら……言ってくれ。出来る限り……手を貸そう」
 これでも最年長だからね。相談役くらいは買って出よう。
 ぶっちゃけ、俺よりも彼女の方が、人生経験が豊富そうな気もするけど。
 シャ何とかという勲章も持っているくらいだし、相当な場数を踏んでいるのだろう。
 そんな彼女でさえ、自分の名前で悩むという女の子らしい一面を持っていることが今回の一件で分かった。
「……(フルフル)」
 真っ向から首を横に振られてしまった。
 ……ま、まあ、俺なんかの助けは要らないよね。ごめんね、妙なお節介焼こうとして。
 少し気落ちしつつ、彼女に背を向ける。
 宮殿の中に入る気は更々ないので、何処か安全で目立たない場所を探すことから始めよう。
 それでいて尚且つ、ルイズ達が出て来た時に発見出来る位置に居なくてはならない。
 安全な場所に隠れる、ルイズ達の同行に注目する、両方やんなくちゃあならないってのが「使い魔」の辛いところだな。
 覚悟はいいか? 俺は……もう少し時間がかかりそうだ。
「……宮殿には入らないの?」
「……ああ」
 振り返らず、背中越しに声を返す。
 中には高価な壷とか沢山あるだろうし、居ても萎縮するだけだ。
 だったら、最初から外で待っていた方が精神的に楽でいい。
「王族が嫌い?」
「……いや」
 王族と言えば、お姫様のことかな?
 綺麗だし、優しいし、空気が読めるトリステインのお姫様。
 俺なんかさっき大きな借りを一つ作ったばかりだ。心から感謝している。
 そうだよな、タバサも女の子。お姫様に憧れていても全然おかしくはない。
 念の為にチラリと振り返ってみれば、案の定、不安そうな眼差しでこちらを見つめていた。
 やっぱり、「この歳で将来の夢がお姫様っておかしいかな?」的な意味の質問だったか。
 俺も結構唐突に話題を変えるけど、タバサも中々シャープな言葉のキャッチボールをしてくるな。
 無口だと言葉が最後まで伝わらずに、中途半端な意味で捉えられることが多い。
 その為、半ば必然的にシャープな話題の切り替え技術が必要になるのだ。
 じゃないと、自分の望む方向とは真逆の流れで話が進んでしまうからである。
「嫌いでは……ない。ただ、好んで馴れ合おうとは……思わん」
 馴れ合う=深い仲になる。オッケー?
 個人的にお姫様は好きなのだが、バックにあのバイオ生物に乗ったおっさん達が居ると思うと、どうしても仲良くなるのを尻込みしてしまう自分が居る。
 ルイズはお姫様とすごく仲が良いみたいだけど、俺にはあんなに友好的にはなれないだろう。
 一般人とお姫様、二つの立場の溝は思っている以上に深いのだ。
 ……というのは建前で、実際はゴタゴタに巻き込まれるのが怖いだけだったりする。
 ドラマの見過ぎか、暗殺やら継承権争いやらドロドロしたイメージがあるからなぁ。
 楚々としたあの姫様に限って、そんなことはないとは思うけど。
「……そう」
 心なしかタバサの声音には寂しそうな響きが内包されている……気がした。
 ―――あ。
 くそ、何をやっているんだ、俺は!
 お姫様になるのを夢見ている彼女の前で、よりによって王族は嫌い発言をするとか、KYにも程があるでしょう?
 急いで頭の中で弁解の言葉を考え、一言一句確かめるように口にする。
「その内、気が変わるかも……しれないがな」
 タバサは別だという台詞にしようか悩んだが、こっちはあまりにナルっぽいので没となった。
 実際問題、彼女がお姫様になっても俺達の友情は変わらないだろう。
 タバサには数え切れないほど世話になった記憶がある。
 少なくともこの借りをしっかりと返すまでは、出来る範囲で彼女を支えるつもりだ。主に洗濯関係で。
 本人がそれを望めば、という前提あっての話であるが。



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この記事のコメント
更新きたー
後半楽しみにしてます。
2009-06-14 Sun 21:49 | URL | むむ #-[ 内容変更]
ダンケ、タバサからの誤解が深まったな……。
どうもネクオロさん、ベリウスです。
今回のダンケは本人にそのつもりは無くても、言葉だけ聞くとタバサの正体を知ってる様に言っている。
こりゃ闇でのタバサの勘違いが非常に楽しみです。
2009-06-14 Sun 22:25 | URL | ベリウス #VSnRaRv6[ 内容変更]
タバサは別なんて逝ったらもう…(笑)
2009-06-14 Sun 22:46 | URL | コイピー #-[ 内容変更]
>>平和に暮らしていたら突如として拉致されたこと、ルイズにはとても感謝していること。
暗殺組織にでも拉致されて、殺し屋として荒んだ日々を送っていた所を
ルイズの召喚で日の当たる世界に戻ってこれたから感謝してる、とか思われてそうだ
2009-06-14 Sun 23:17 | URL | #-[ 内容変更]
勘違い物を書ける人って凄いや…。闇ではどう思われているんだろう?
2009-06-16 Tue 01:44 | URL | 凡士 #-[ 内容変更]
主人公の中ではドイツは科学が発展した魑魅魍魎の国なんですね。
2009-06-16 Tue 14:21 | URL | ならさ #Ciov6gVM[ 内容変更]
お初でしたっけ?
いつも楽しませていただいてます。

幽霊だかのくだりで、公式でタバサが幽霊だめなのを思い出しました。
2009-06-28 Sun 12:32 | URL | ゾンビ #a7.OaPp6[ 内容変更]
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