ネクオロでした
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リリ勘。第二十一話。
2009-11-01 Sun 18:06
この回で戦闘シーンは終わりです。

ここからダラダラとクライマックスまで進む事になります。

【グラビティ・ブースト(優)】

発生した魔法陣が相手の魔法を受け止める事によって発動する魔法。カウンタースペル。

魔法陣と接触・吸収した魔法の強さに比例して、一時的に術者の魔力が上昇する。本来はこれによって得られた魔力を使用して時を跳躍する魔法なのだが、使用者のランクが元から低かった為にそのレベルまでスペルを高めることが出来ず、前方の一点に時空の歪みを発生させるだけに留まった。

相手の懐にブラックホールを直接打ち込むようなものなので威力だけなら最強。ただ、あまりに消費魔力が多い上、カウンター発生の判定がシビア過ぎるので普通に戦うだけなら【スパイラルブースト】で十分。RPGで言うところのイベント魔法に近い代物である。強過ぎる故に使えない。



第二十一話―――赤き瞳の破壊神なの!? 最速の騎士と“彼女”の居場所。


 ―――ハっ!?
 こ、この感覚、懐かしいなぁ……。
 気絶から復活したあとの、何とも言えないこの気持ち悪さ。
 小○郎のおっちゃんみたいに、寝ている間に事件が解決してればどれだけ楽か。
『―――システム復帰まで3……2……1―――完了。“EXAM”駆動率12%。通常行動は可能ですが、魔法の使用はしばらく控えた方がいいでしょう。97,7%の確率で爆砕します』
「……もう一生使いたくない。つーか、真っ暗なんだが、カメラでもやられたのか?」
『どうやら、グラビティ・ブーストの負荷でヴァイザーが破損したようです。その衝撃でメインカメラがスタンバイモードに切り替わってしまったのでしょう。―――モニター、回復します』
「おー、キタキタ……キタ―――!? に、逃げろ!? やばい、手! 手が伸びてきてるって!?」
 視界が鮮明になった途端、ドアップになる巨人の手。
 何をしようとしているか分からないし知りたくもないが、あんなのに掴まれたら苦しいでは済むまい。
 良くて全身骨折。最悪の場合……出てはいけないものが出る。
 というか、グラビティとかいうの全然喰らってないじゃないか!?
 今までは凹むなり千切れるなりしていたのに、今回はまったくのダメージなし。
 苦しい思いをした結果がコレだよ……。
 こりゃあ、永遠に封印だなこの呪文。
 痛い思いをしただけで無意味じゃないか、まだスパイラルとかの方がマシだ。痛いが。
 ただ、肉体的なダメージは以前より少ない気がする。
 流石はチャージアップ。再改造万歳といったところか。
 い、いや、今はそんなこと言っている場合じゃないって!?
「……あれ?」
 おかしい。
 手が伸びて……来ない?
 虚空を掴むように伸ばされた手。
 それは俺が目にした時から微動だにしていなかった。
 むしろ……戻って行ってないか?
 うん。間違いない。戻っている。
 ゆっくりだけど、手が引っ込んでいっている。
 これはあれか、俺が弱過ぎてツマランとかそんな感じか。
 全力攻撃して相手は無傷だもんなぁ、やる気もなくなるわなぁ。
 となると、次の相手はクロノ君あたりかな?
 彼ならば巨人だろうが魚人だろうが一撃で仕留めるに違いない。
 巨人の気が変わらない内に、クロノ君と交代しなくては。
 通信―――はまだ使えないっぽいので、アースラに向かって手を振るとするか。
 敵に背を向けるのは不安だが、だいぶ距離が開いているし大丈夫だろ。
 姿勢制御スラスターを小刻みに動かして振り返る。
 その直後だった。
 何とも言えない嫌な音が聞こえたのは。
 何というか、硝子が擦れる音を100倍嫌にした感じ……とでも言えばいいのか。
 耳にしているだけで吐き気が込み上げてくる。
 うわぁ……振り返りたくないなぁ。
『……かつて、時間跳躍に夢を馳せた科学者が居ました。結局、その者の夢は叶いませんでしたが……彼女も本望でしょう。自身が編み出したスペルを、誰かの為に役立たせることが出来たのですから。マスター、私は貴方に出会えて本当に良かった』
「やめろって。それ、地味に死亡フラグだから」
 どうでもいいけど、科学者の夢ってアニメやら漫画では大抵成就しないよね。
 志半ばで、というパターンがやけに多い気がするよ。
 やれやれだぜ……現実逃避もここまでか。
 重い溜め息を一つ吐き、恐る恐る振り返る。
 そして、時が止まった。
「……穴?」
 こんな不思議なことがあっていいのだろうか?
 鎧巨人の真ん中に開いた小さな穴。
 そこに巨人が吸い込まれていっている。
 分かり易く例えるなら……風呂の栓を抜いたあとの水の動き、みたいな。
 自分でも何を言っているのかよく分からないが、兎に角、小さな穴にでかい巨人が吸い込まれていく様はただただ異様だった。
 巨人も抵抗しているようだが、穴の本拠地は自分にある以上、どうしようもない。
 見ようによっては、蟻地獄にはまった蟻にも見えなくはないか。
 これは俺の推測だが、例の時空振動とやらに巻き込まれたのだろう。
 まさかピンポイントで震源地に当たるとは、敵ながらなんと運のない……。
 だが、リンディさんたちがあれだけやばいと騒いでいた理由がやっと分かったぞ。
 普通の地震と違って大規模な破壊力こそないものの、発生源が確実に消滅するというのが時空振動の恐ろしいところなんだろう。
 これが人の集まるデパートなんかで発生したら最悪だ。
 建物諸共、中の人が全員どこぞに飛ばされるわけだからな。おまけに防ぎようがないときたものだ。
 そりゃビビるよ。俺だって怖い……いや、俺が怖がるのはいつも通りか。
 怖いからさっさと戻るとしよう。
 ヨロヨロと方向転換。
 進路をアースラにとったところで、BJが金の光に包まれた。
 チャージアップが解除され、元の装甲に戻る。
 ―――“うぅー、ちょっとだけ疲れちゃった”
『コアに定着しているとは言え、貴女は魔力の塊のようなものです。マスターに恩義を感じているのは分かりますが、あまり同調しない方がいい。貴女が消滅することで悲しむ者が居ることを忘れてはなりません』
「だからさ、少しは俺にも分かるように説明してくれ。あと、アリシア、よく分からんが、ありがとう。助かった。これからも宜しく」
 一人じゃ不安だしなぁ。
 ガルウイングは何かと暴走しがちだし、アリシアが居ると心持ち気持ちが明るくなって良い。
 他称・相棒も女性声だけど、コイツは大人の女性って感じだからさ。
 俺は決してロリではないが、ロリではないが! アリシアの幼い声は俺の不安を掻き消してくれる気がするのよ。ロリじゃない。
 ―――“……え。わたし、ここにずっと居てもいい……の? 迷惑じゃないの?”
 ぼんやりと浮かび上がるアリシアの姿。
 戸惑っているのか、その瞳は不安げに揺れていた。
 というか、今更何を言い出すのか、この娘は。
「迷惑だなんて思うわけないだろ? 折角、第二の人生始めるチャンスを得たんだ。精一杯楽しまないと、損だと思うぞ」
『メモリを圧迫するのは少々考え物ですが、ね』
 ガルウイングの辛辣な言葉に、アリシアが悲しそうな顔をする。
 口調からして冗談のつもりなんだろうが……コイツ、そういうの極端に下手くそだからな。
 もしかしたら友達が居なかったのかも―――って、デバイスだから友達とかは居ないか。
 人間だったらあれだな、こいつは。
 実験室とかに引き篭もって、一日中わけの分からん研究とかしているタイプだ。
 ただ、こういうタイプの人って、一度認めた人間にはとことん協力するよなぁ。
「あのな、そういうこと言うなって。それでなんか不具合とか出んのか? もしかしたら、メーカー保障とか受けられなくなったりする? それだとちょっとまずい気もするけど」
 あ、いや、関係ないか。
 そもそも、俺はコイツの保証書とか持ってないし。
『ブーストスペルの威力向上用プログラムを書き込む為のスペースでしたので、バージョンアップは先送りになります。処理能力も2%ほど低下するかと』
「あっそ。ンなのどうでもいいから。アリシアの方が五千倍は大事」
 これ以上、威力を底上げしてどうなる……。あげるのなら安全性だろーに。
 今でさえ体が悲鳴をあげているというのに、威力増加とか有り得ん。
 そんなのだったら、アリシアに癒される方がいい。絶対いい。
 世の男子の9割―――否、10割が俺と同じ選択を採ると思うが、どうだろう?
『だそうです。マスターの性格からしてそう言うだろうとは思っていましたが』
 ガルウイングの、いかにも分かっていました的な雰囲気が妙にむず痒い。
 声音もどことなく嬉しそうだし……より人間味が増している気がする。
 コイツ、デバイスよりも人型ロボットに搭載した方が映えるんじゃないのか?
 ―――“ほ、本当にいいの!? そんな優しいこと言われたら、わたし……わたし、本気にしちゃうよ”
 頬を染め、上目遣いに見上げるアリシア。
 ……ちょっと、グッときた。
「だ、だから、いいって。あんまりしつこいと、気が変わっちゃうかもしんないよ?」
 ―――“そ、それはダメ!”
 慌てちゃってまあ、可愛いなぁ―――ハッ!? い、いかん、どんどん思考が危ない人に!?
 俺は大人な女性がタイプだった筈だ。昔の自分を取り戻せ。
 ただ、アワアワしているアリシアが可愛いのはガチだった。
「兎に角、アースラに戻ろうか。ここ、うにょうにょしてて怖いんだよ」
『凱旋というやつですね、マスター。戻れば戻るで色々と厄介なことに巻き込まれるでしょうが……まあ良いでしょう』
 ―――“フェイトたちもきっと首を長くして待ってるよ! 早く帰ろう!”
 涙を指で拭い、にこりと笑顔の花を咲かせる幽霊の少女。
 うん、やっぱりアリシアはこうでないと。
 わいわいと騒ぎながら帰路につく。
 気付いたら全部片付いていたのはこれが最初じゃないけど、今回は割かし頑張った気がするなぁ。
 アリシアとフェイトちゃんのお母さんも何とか助けることが出来たし、万々歳ではなかろうか。
 俺としても、怪我の治療をしてくれたお礼が出来て大満足である。
 ここだけの話、あのお母さんはツンデレだから、何かとんでもない要求をされるんじゃなかろうかとビクビクしていたわけで。
 あー、これでやっとゆっくり出来るよ。


「―――と、思っていた時期が俺にもありました」
「大樹さん、どこ向いているんですか! 人のお話を聞く時は、人の目を見ないとダメです!」
「大樹、なのはの言う通りだよ。わたしも一緒に謝るから……ね?」
『む、謝る必要などありません。マスターは最善の行動を取ったに過ぎないのですから。ですよね、マスター』
 ―――“う~ん、ここは謝っておいた方がいいと思うなぁ。皆、お兄ちゃんのことが心配だったんだよ”
「あはは、いきなり賑やかになったね」
 俺もそう思うよ、エイミィ。
 凱旋だ何だの言っていたけど、結局は帰って来た途端、リンディさんのお説教が待っていた。
 曰く、責任感が強いのは認めるし、その行動力は素晴らしいものだが、あまりにも唐突過ぎる、との事。
 まあ……好き好んで飛び出したわけじゃないから。気付いたらウニョウニョとか。ないわぁ。
 あと、アースラに到着した早々に、フェイトちゃんに涙ながらに謝られた。
 秘密を勝手に喋ってしまったらしいけど……俺、何か彼女に大事なこと言ったっけ?
 結構いい加減な性格だから、まったく覚えがない。
 こういう場合、記憶にないことは大抵大したことじゃないので、「別にいいよ」とだけ言っておいたが。
 ただ、その時の周囲の反応が少々意外だった。
 特に、クロノ君の「貴方には敵いそうもない」という台詞が。
 その台詞、そっくりそのまま返してやりたいと思った俺は悪くない筈だ。
 嫌味か? 新手の嫌がらせなのか?
「もぅ! 何度言ったら分かるんですか! 大樹さん、こっちを向いてください!」
「え、なのはちゃんを見りゃいいの? そりゃ気が楽だ」
「にゃっ!? ち、違いますよ!? 別にそういう意味で言ったわけじゃないとか思ったりしなかったりですし……!?」
「…………」
 ―――“ダメだよ、フェイト。こういう時は、押せ押せで行かなきゃ!”
『マスターは英雄として扱われるべきです。このような不遇な扱い、承服しかねます』
「いいから! お前は少し黙っていろって!」
「……大樹君、気が楽とはどういう意味ですか? 私の顔がそんなに見苦しいとでも?」
「…………あ、いえ、その……」
 どうやら地雷を踏んでしまったようだ。
 リンディさんは笑顔が怖い。
 特に、今のような微笑が一番怖い。
 説得してくれると言っていたなのはちゃんは赤い顔をしてモゴモゴ言っているし、フェイトちゃんはアリシアと何やら密談中。
 ガルウイングは……より現場をかき乱すだけだ。
 エイミィとクロノ君は我関せずを貫き、ユーノは徹底的にイタチの真似か。
 獣だからな。そういった危機の感知には人一倍―――否、獣一倍敏感なのだろう。
 ふっ、背水の陣とは正にこのことだな……泣けるぜ。
「―――ありがとう」
 それは誰の漏らした呟きだったか。
 喧騒の中、確かに届いたその声に、俺は苦笑を浮かべた。
 生憎と、そう言われたらこう返せ、とガキの頃から教えられているのだ。
「どういたしまして」


 長い戦いは終わりを告げ、再び平穏が訪れる。
 一人の少女の死から始まった悲しみの連鎖は、白銀の翼によって断ち切られた。
 時を止めていた魔女の時間はようやく動き始め、ずっと前に進めなかった少女はその歩みを進める。
 そして―――彼と“彼女”の別れも間近にまで迫っていた。


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この記事のコメント
感想~。
長い戦いは終わりを告げ、再び平穏が訪れる。
 一人の少女の死から始まった悲しみの連鎖は、白銀の翼によって断ち切られた。
 時を止めていた魔女の時間はようやく動き始め、ずっと前に進めなかった少女はその歩みを進める。
 そして―――彼と“彼女”の別れも間近にまで迫っていた。
長きに渡る勘違いだらけの物語もいよいよその幕を下ろす時が近づく……。大樹が紡ぐリリカルな物語の
終焉とは……。次回も非常に楽しみです。
2009-11-01 Sun 22:16 | URL | ベリウス #VSnRaRv6[ 内容変更]
英雄とは自ら名乗るモノではなく他者が呼ぶモノである!
今回はたった一言、ありがとう!『英雄』!
2009-11-05 Thu 09:15 | URL | : #-[ 内容変更]
No title
お初です。

一気に読ませていただきました。

読んでいる途中から脳内BGMでディケイドのテーマソングが流れたり、クウガのテーマソングが流れたりしてました。
2009-11-19 Thu 13:40 | URL | 七誌 #H6hNXAII[ 内容変更]
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