ネクオロでした
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明日勘。第一話。
2010-04-10 Sat 23:52
☆ 注意 ☆

この物語は前作『リリ勘』の続編にあたります。

ですが、番外編とは異なった結末を迎える予定ですので、また別の平行世界の物語として解釈して頂けると幸いです。

尚、これは勘違いものです。
 

 時刻は夜。
 海鳴市藤見町の一角が突如として封時結界によって隔離された。
 それと同時に、巨大な魔力を持つ魔導師の反応が現出。
 それが海鳴市最強の魔法使い―――高町なのは(ちゃん)の自宅に向かっていると告げられ、叩き起こされたというのが今の俺の現状だった。
 相手は少なくともAランク以上の実力の持ち主らしいし、アリシアの居ない俺が向かったところでお荷物もいいところなんだろうが……一人の大人として放って置くわけにもいかず、俺は現場へと急行していた―――足で。
 普通、魔導師ランクがDならば、飛行魔法くらいは問題なく使用出来るようだ。
 だが如何せん、俺が使っているデバイスはアルハ産の一品モノ。燃費やら地球環境保護やらに唾吐きかけて作り上げられた代物なので、魔力変換効率が著しく悪いのである。
 元々が次元空間航行用デバイスなわけだし、本格的に使用する際は補助動力とか積んでいるんだろう。
 そんな代物を一個人で運用しろと云うのがそもそもの間違いなんだって。
『マスター、敵性体はどうやら高町なのはとの交戦を開始したようです。急ぎましょう』
「急いでる! お前には伝わらないかもしれないけど、俺は今だって全速前進してるよ!?」
 魔力という燃料が豊富な女の子達が心底羨ましい。
 最近はプログラムの微調整だとかでだいぶ改善されつつあった魔力問題だったが、アリシアの提案でカードシステムを搭載し、様々な問題があってそれを白紙に戻した際に、構築されたプログラムの一部も真っ白の状態に戻ってしまったのだ。
 俺に憑いている幽霊少女に影響は無かったし、時間は掛かるけど修復は可能だとガルウイングから聞かされていたので油断していた。
 よもや、前回の事件から半年も経たない内に新たな異常が発生するとは……。
 夜の道を全力疾走する俺の左手首には、灰色の珠がはめ込まれたリストバンドが巻かれている。
『……マスター、高町なのはは劣勢のようです。このままでは……』
「へ、変なところで会話を止めんな!? あ―――っ、ちくしょう! ガス欠で役立たずになっても知らねーぞ俺は! 大変身っ!」
 ピカピカと不気味に光るビー玉に怒鳴り、足を止めて両手を直上に構える。
 そのままゆっくりと時計で云う二時と十時の位置まで両手を動かし、空気を切る感覚で左手を腰に右手を左斜めに突き出した。
 刹那、ガルウイングから眩い光が放たれ、俺の体を基礎フレームと魔力で構築されたBJが覆っていく。
 一秒も掛からずにその場に居た平凡な青年は、やたらと無骨な金属鎧に包まれた異常な奴へと変貌を遂げていた。
 流線型のボディ。漆黒のヴァイザーの奥で、紅の双眸が瞬いた。
「長距離移動でブースト使う羽目になるとは……いや、これが本来の使い道なんだろうけど」
『マスター』
「よ、よし、行くぞ。とりあえず、まだまともなブーストのフォーカ―――」
『―――ready, spiral burst!!』
「……そう来たか」
 音が消える。意識が飛ぶ。
 俺が口にしようとしていた“フォーカス・ブースト”よりも数段階ほど威力の高い攻勢移動用スペル“スパイラル・ブースト”をウチの馬鹿が発動させたのである。
 こいつと出会って半年ほど経ち、それなりに成長していたと思っていた俺が愚かだった。
 次に意識が回復した瞬間、俺の目に飛び込んで来たのは……壁?
 ブースト魔法は基本的に直線運動しか出来ない為に、こういう事は度々ある。
 前もビルの壁面に減り込んで数時間ほど糸なし蓑虫やっていたぐらいだし。
 とは云え、今回は前と違って少しばかり状況が慌しいようだ。
 突撃した壁のひび割れの向こう側に、見た事のない格好をした女の子が見える。
 赤い衣装を身に纏い、ゲートボールのスティックのような武器を装備した女の子と戦っているのは―――フェイトちゃん!? おお、フェイトちゃんだ!
 ミッド何とかに帰っていた金髪の女の子。なのはちゃんの親友だ。
 前回の一件じゃ大変な目に遭ったけど、皆で頑張って一緒に困難を乗り越えたんだよな。
 彼女が居ればもうなのはちゃんは安心だろう。
 まだ到着していないようだけど、じきにフェイトちゃんの使い魔兼家族のアルフも来るだろうし。
 視界をズームさせると、疲労の色が濃いなのはちゃんに肩を貸すユーノ君の姿が映し出された。
 手にしている彼女のデバイス―――RHは深く傷付き、赤いコアの点滅も弱々しい。
 ……頑張ったんだな、なのはちゃんとRH。
 何だかここでコソコソしている自分が恥ずかしくなってきた。
 ユーノ君もフェイトちゃんと同様になのはちゃんの親友であり、回復と防御魔法のスペシャリストだ。
 彼が駆け付けてくれたのは、彼女にとって大きなプラスとなるだろう。
 まあ、俺が何を云いたいかというと……もう俺って必要なくない? と、そういう事だ。
「ガルウイング」
『はい』
「とりあえず、俺達はここで―――」
『暫く様子見、ですね。了解しました』
「え……う、うん。な、何だよ、今日はやたらと物分りがいいじゃないか」
 てっきり、さあ今こそあの悪を打ち滅ぼす時です! とか云って突っ込まされると思っていたが。
 予想外の出来事に目を丸くする。
 そんな俺に向かって、ガルウイングはしたり顔っぽい雰囲気を口調に滲ませながら云った。
『新たに飛来する敵性体を二体、捕捉しました。マスターはこの新手を急襲する心算なのでしょう? それにしても流石ですね、マスター。まさか、わたしが報告するより早く敵の到来を察知するとは』
「うわ……仲間が居るのか。そ、そりゃあそうだよな。いくら何でも単騎で突っ込んで来たりはしないわな。フェイトちゃんに連絡出来るか?」
『……申し訳ありません。先の衝撃で通信機構の一部がエラーを起こしてしまったようです。回復まで凡そ240秒必要です』
 240秒―――か。
 それだけあれば敵の増援が駆け付けてしまうだろう。
 なのはちゃんはもう戦えないだろうから、戦力になるのはフェイトちゃんとユーノ君の二人。
 そして、敵さんはあの赤い服の女の子と後から来るというニ体で計三名。
 数でも押されているし、ユーノ君は接近戦を挑まれたらちときついかもしれない。
 彼の防御魔法の凄さは身を以って知ってはいるけど、あの赤服の女の子の戦闘スタイルを見る限りでは、どうやら彼女は白兵戦に主眼を置いた戦闘スタイルのようだ。
 彼女のお仲間が彼女と同じスタイルを好むとは限らないが……うーん。何か嫌な予感がする。
 もっとよく状況を観察しようと視界を更に拡大させれば、赤服の女の子の足元に三角の魔法陣が浮かび上がっているのが見えた。
 なのはちゃんやフェイトちゃんは円が回転する魔法陣だった筈なので、彼女は俺の知っているものとは別の魔法の使い手という事か。勘弁してくれ。
『検索―――終了。なるほど。ベルカ式の―――管理局でいう古代ベルカ式の魔法ですか。わたしも知識としては知っていましたが、直接目にするのはこれが初めてです』
「古代なんだって?」
 聞き慣れない単語を耳にし、思わず聞き返す。
 古代やら現代やら云われても、魔法と関わってまだ半年の俺にはさっぱり判らない。
 俺のブースト魔法は無駄に特注品らしいので、なのはちゃん達と共通の魔法って防御用のラウンドシールドと回復魔法のフィジカルヒールくらいだろう。
 ……で、この二つはいったいどっちの派生に入っているんだ?
 今も使われているから現代版か、もしくは生きた化石カブトガニみたいなノリで実は古代式だったりするのだろうか。
『古代ベルカ式。現在は衰退しているようですが、以前はミッドチルダ式と二分する勢力を誇っていた魔術体系のようです。我々の使用している魔術ほどではないですが、使い手が限られているので管理局では希少技能(レアスキル)に認定されているとの事です』
「……だいたい判った」
 要するに珍しい魔法だという事だろう。
『ベルカ式は近接に特化した魔法を多く用いる事で有名です。“ベルカの騎士に一対一での負けは無い”との格言も残されている事からして、彼等は白兵戦闘に絶対なる自信を持っていると見て間違いはないでしょう』
 嫌な推測だけは当たるようになっちまった。
 近接タイプは正直、苦手だ。ブーストを一発でも外してしまえば隙だらけのこちらとしては、出来るだけ敵さんと距離を開けて対峙したいというのに。
 防御力に秀でているとは云っても魔法障壁なんて無いに等しいので、実際の耐久力はBJ装備のなのはちゃんとどっこいどっこいなんだよな、俺。
 だからよく貫かれるし、壊れるし、怪我するしで酷い目を見てきているわけだ。
「絶対なる自信ねぇ。俺と大違いだな」
 自信という言葉にもっとも縁遠い男と自負してやまない俺としては、少しだけその精神が羨ましい。
 一応、こっちも移動に特化した魔法使いである点に違いはないのだが……如何せん、扱い切れていないからなぁ。
 遠距離はなのはちゃん、近距離はフェイトちゃん、回復補助にユーノ君とアルフ、大抵の事はこなせるオールマイティのクロノ君と知り合いにスペシャリストが多過ぎるのも俺の自己過小評価に拍車を掛けている気がしないでもない。
 いや、まあ仲間が優秀なのに越した事はないので、俺としては万々歳なわけだが。
『ですね。真の強者は決して驕る事はないのですから。そもそも我等には一対一であろうと多対一であろうと敗北など無縁。状況を限定している時点で、彼等の程度の低さが窺い知れるというものです。さあマスター、あの思い上がった畜生共に大空の支配者が誰であるか見せ付けてやろうではありませんか!』
「色々と突っ込みたい事だらけだが、今日のお前はやたらと辛口だなおい。何かあの人達に恨みでもあるのか―――いや、無い事はないか。何だかんだ言って、お前はなのはちゃんの事を気に入ってたようだし」
 最初に出会った魔導師がなのはちゃん達だったせいか、基本的に辛口コメンテーターのガルウイングも彼女達には微妙に甘いところがある。
 今日だって彼女のピンチを察するや否や、寝ていた俺を叩き起こして現場に急行させるぐらいだし。
 もっとも、始めこそ「見捨てよう」、「捨て置こう」などと云った恐ろしい提案の対象となっていたフェイトちゃんにも最近は何かと甘めなので、こいつにも相応の仲間意識というものはあるのだろう。
 その優しさを少しでも俺に割り振ってくれたら―――などと考えた事もあるが、それはそれで厄介な事態に発展しそうだとすぐに考え直した。
『まあ、それもある事にはありますが……単なる嫉妬ですよマスター』
 自嘲気味にそう呟き、ガルウイングは苦笑するように二度ほど明滅する。
 デバイスの相棒がいったい何に嫉妬したのか、皆目検討がつかない俺としては押し黙る事しか出来ない。
 若さへの嫉妬かなどと一瞬思ったけど、デバイスのこいつに年齢とか関係ないだろう。
 何気なく視線をフェイトちゃんに戻せば、事態は新たな展開を迎えていた。
 赤服の女の子がバインドで四肢を拘束され、虚空に磔にされていたのである。
 バインド魔法はその名の通り、相手を拘束して動きを封じる為の魔法だ。
 俺も一応、バインドアンカーというそれっぽい魔法を使用してはいるものの、いちいち背中のタービンから射出しなくちゃいけないので不意を突かないと結構あっさり避けられてしまう。
 しかも俺の魔力量では一度に生成出来る数が四本と決まっているので無駄撃ちする事も出来ず、それほど使用頻度は高くなかったりする。
 その点、アルフやユーノ君の扱うバインド魔法は万能だよなぁ。
 結構な数は出せるし、最初は光の弾みたいな形状で飛んで行き、相手に当たると同時に枷の形に変形出来る機構も備わっている。
 俺のバインドもそれなりに改良されてはいる―――いや、いたんだけど、例の一件で白紙に戻ってしまった。
『―――敵性体接近。マスター!』
 ガルウイングの念話が意識を思考の淵から引き上げる。
 ズームされた視線の先―――そこには、バインドで拘束された赤い服の少女を守るように桃色の髪を靡かせる女性が宙に立っていた。
 手には両刃の剣が一振り。
 実際に相対したわけじゃないけど、すぐに判った。あの人は強い。そして怖い。俺の苦手なタイプだ。
 こちらが優勢だった戦況は既に一変してしまっている。
 お、おいおい、フェイトちゃん、大丈夫か―――って、は?
 間抜けな声をあげてしまったのも無理はない。
 彼女の相棒バルディッシュの柄が、頑丈な事に定評のあるデバイスがたった一太刀で両断されてしまったのだから。
 というか、敵の接近に気付いていたのに強襲許すとか間抜けに程があるでしょう?
 いつの間にか到着していたアルフが彼女を助けようとするものの、物凄い速度で突っ込んで来た男の人に蹴られて逆に吹っ飛ばされてしまった。
 いきなり絶対絶命じゃないか!?
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 今こっから抜け出すから! とりあえず、お前はいつでもブーストが使えるように―――あー」
『―――ready, spiral burst!!』
「同じネタはどうかと思う―――っ!?」


☆ 次回は少し時間が巻き戻ります。本格的に勘違いが始まるのはもう少し先になるかと。ご了承ください。


別窓 | リリ勘 | コメント:3 | トラックバック:0
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この記事のコメント
キタ━(゜∀゜≡゜∀゜)━!!
とうとう始まった明日勘!!
正座で待ちすぎて足が痺れたぜ!!(マテ

さぁ(色んな意味での)感動を僕たちに!!(笑)
2010-04-11 Sun 00:04 | URL | ういっす #t50BOgd.[ 内容変更]
No title
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!

いや本当お待ちしておりました!
これからも彼の活躍を見れると思うともう・・・!
2010-04-11 Sun 16:20 | URL | B-B #-[ 内容変更]
No title
きたこれw

web拍手がww
2010-04-11 Sun 18:34 | URL | we #-[ 内容変更]
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