ネクオロでした
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明日勘。第二話。
2010-04-10 Sat 23:57
まさかの連続更新。いえ、まさかではないのですが。

永らく間が空いてしまったお詫びという事で一つ。

さて、次はあっちだ。


 結界で覆われたビルの一角に爆音が響き渡る。
 先端が鋭く尖ったハンマーと少女―――高町なのはのデバイスRHが展開した障壁が接触し、火花を散らした。
「ぶち抜け―――っ!」
『―――Jawohl.(了解)』
 戦槌を振るう赤服の少女が荒々しく咆哮を轟かせる。
 それに応えるように、少女の手にした鉄槌型アームドデバイス“グラーフアイゼン・ラケーテンフォルム”、その先端の一方から魔力の炎が吐き出され、障壁を食い破らんと更に加速を始めた。
 拮抗は一瞬だった。
 硝子が砕けるようになのはの魔法障壁が破壊され、スパイクが少女のBJと接触する。
 刹那、なのはのBJ―――その上着が自ら弾け飛んだ。
 BJの最終防衛機能である“リアクターパージ”が発動し、少女の負うダメージの幾分かを肩代わりしたのだ。
 防ぎ切れなかった衝撃によって、少女の小柄な体は勢いよくビルの内壁へ叩き付けられる。
 体を襲う鈍い痛みに苦悶の声をあげるなのは。
 襲撃者たる紅の少女―――ヴィータも今の一撃でかなりの力を使ったのか、肩を大きく上下させた荒い息を吐き出している。
 息を整え、ヴィータはアイゼンを手にゆっくりとした足取りでなのはに歩み寄る。
 なのはも残った僅かな力を振り絞り、傷だらけのRHを赤の少女に向けるものの既にその視界は霞み始めていた。
 主の窮地を警告するように点滅するRHのコア。
 震える視界には、冷たい目をしてハンマーを振り上げる赤の少女の姿が映し出されている。
(こんなので終わり……? 嫌だ……ユーノ君、クロノ君、大樹さん―――フェイトちゃん!)
 この先に待ち受けているだろう恐怖に負け、なのはは目を硬く瞑る。
 だがしかし、次に彼女の耳に入ったのは、金属と金属がぶつかり合う硬質音だった。
 恐る恐る目を開く。
 開ける視線の先で、黒のマントが棚引いていた。
 夜の闇の中、黒のリボンで束ねられた二本の金髪が揺れている。
 呆けたように一人の少女の背を見詰めるなのは。
 そんな彼女の肩に手を置き、ベージュ色の髪をした少年は安心させるように囁いた。
「ごめん、なのは。遅くなった」
「ユーノ……君?」
 そこに居たのは、かつて、共にジュエルシード事件を駆け抜けた結界魔導師ユーノ・スクライア。
 なのはの魔法の師であり、パートナーでもあった少年は穏やかに微笑んでいる。
「ぐっ……仲間か!?」
 金髪の少女―――フェイト・テスタロッサと鍔迫り合いを演じていたヴィータが忌々しそうに顔を歪める。
 飛び退き、距離を取った少女を鋭い視線で見詰め、フェイトはハッキリとこう口にした。
「―――友達だ」


 ―――間に合って、本当に良かった。
 戦斧型インテリジェントデバイス・バルディッシュを近接特化形態“サイズフォーム”へと変形させ、フェイトは相手の出方を慎重に窺っていた。
 かつて、なのはと幾度と無く死闘を演じた事のある彼女は知っている。
 高町なのはという少女が優れた素質を持つ魔導師であり、そう容易く遅れを取るような人物では無い事を。
 だからこそ、フェイトは紅い装束を纏った少女の一挙手一投足を見逃さないよう、意識を集中させていた。
 少女が手にしているデバイスは戦槌型。
 見たところ、自分と同じように近距離及び中距離に特化したタイプなのだろう。
 なのはの障壁を打ち砕き、尚且つBJにまで損傷を与えたとなると、純粋な攻撃力では自分のそれを上回っている可能性が高い。
 そして拙い事に、自身の長所にして最大の武器である機動性を活かすには、屋内というこの環境はあまりに狭過ぎる。
 いくらユーノがついてくれているとは云え、なのはを庇いながら立ち回るのは無理があった。
 ならば、フェイトがここで取るべき行動は一つだけ。
 何とかしてあの少女を屋外に引きずり出す、これしかない。
「民間人への魔法攻撃、軽犯罪では済まない罪だ」
「……なんだテメェ。管理局の魔導師か?」
 赤の少女の目付きが一段と鋭くなる。
 幸い、彼女の意識は自分に向けられている。
 少なくとも最悪のパターン―――こちらを無視して後背に居るなのはを狙う―――は今のところ回避出来ているようだと、フェイトは胸中で静かに安堵の息を吐いた。
「時空管理局嘱託魔導師フェイト・テスタロッサ。抵抗しなければ弁護の機会は君にはある。同意するなら武装を解除して―――」
「―――誰がするかよ!」
 フェイトの言葉を一蹴し、ヴィータが床を蹴って大きく後方に飛び退く。
 飛行魔法を発動させ、そのまま遠ざかって行く赤の少女。
 彼女がここで仕掛けてこなかった事を不審に思いながらも、フェイトはユーノに後を任せ、少女を追うべく自身もビルを飛び出した。
 広域結界によって隔離された世界。
 眼下に広がるビル群の明かりに照らされた夜の空に、赤の少女は凛々しく立っていた。
 少女の足元には、フェイトの見た事のない頂点に円を持つ正三角形の魔法陣が輝いている。
(あれは……ミッドチルダ式じゃない? だとしたら、彼女はいったい―――仕掛けてくる!?)
 湧き上がる疑問を思考の底に沈め、フェイトはバルディッシュを虚空目掛けて振るう。
 選択した魔法は“アークセイバー”。
 サイズフォームの刃を形成している光刃を射出する魔法である。
 それと真っ向から対峙するように、赤の少女が打ち出した射撃魔法が迫る。
 激突する二つの魔法。
 打ち負けたのはフェイトの方だった。
 僅かに眉根を顰め、アークセイバーを押し切って飛来する幾つかの魔法弾をバルディッシュの刃で両断する。
 続けざまに放たれる次弾を持ち前の機動力でかわし、フェイトは新たな射撃魔法“フォトンランサー”を発動させた。
 これは、文字通り槍型の魔力弾を複数射出するフェイトの数少ない射撃魔法の一つ。
 誘導性能こそ無いものの、彼女が最初に習得した魔法であり、それ故に熟練度も高い事から多用している呪文である。
 フェイトが生成したランサーの数は六本。
 黄色の魔力光に覆われたそれが夜空を駆ける様は、正しく稲妻そのものだった。
(避けてくれればその隙を突く事が出来るけど―――くっ、固い!)
 しかし、稲妻はその全てがヴィータの張った障壁に防がれてしまう。
 通るとは思っていなかったが、まさか今居る位置から一歩も動かずに防御されるとは。
 相手はなのはに匹敵する障壁を展開出来ると見て間違いはないだろう。
 厄介なのはヴィータが近接戦闘もこなせると云う事か。
“―――フェイト!”
 フェイトの頭に直接声が響く。
 聞き慣れた筈のその声が、今は不安げに揺れていた。
“アルフ、そっちで何かあった?”
 次元航行艦アースラがなのは達の世界での異変を観測し、フェイトとユーノを現場に転送したのが今から数分ほど前。
 転送装置の不具合もあり、アルフだけは現場に到着するのが少し遅れるかもしれないとは云っていたが、状況が状況だ。
 今は出来るだけ早く、少しでも多くの仲間が必要なのに……。
“ごめん……。こっちはまだ時間が掛かりそうなんだ。エイミィの話じゃ、転送を妨害している奴が居るらしいんだけど”
“……妨害。やっぱり、あの子にも仲間が居るのかな”
 元より、あの少女が単独犯だとは思っていない。
 自分がアルフと一緒だったように、少なくとも使い魔の一体くらいは連れていると考えておいた方がいいだろう。
“それは判らないけど、無茶だけはしないでおくれよ? フェイトはなのはの事になると無茶しがちだから、あたしは心配なんだよぉ”
 不安そうに鼻を鳴らすアルフ。
 念話で映像を送る事は出来ないのに、フェイトには目を潤ませてこちらを見詰める愛すべき家族の姿がはっきりと映っていた。
 胸中で苦笑し、すぐに気を引き締め直す。
 これ以上、心優しき使い魔に心配を掛けるわけにはいかない。
“大丈夫だよ、アルフ”
“うぅ……。絶対に無茶しちゃダメだよ!? あたしも準備が出来たらすぐに駆け付けるから!”
“うん”
 念話を切る。
 こちらの出方を窺っているのか、はたまた何処かに潜んでいるかもしれない仲間と連絡を取り合っているのか、赤の少女はフェイトを睨み付けたまま動かない。
(アルフにはああ言ったけど、これ以上長引かせるわけにはいかない。仲間と合流される前に、一か八か―――こっちから仕掛ける……!)
 覚悟を決め、バルディッシュを握る手に力を込める。
 思い描くは、この世界で出会った一人の魔導師の姿。
 あの大きな背中に追い着く為にも、ここで退くわけにはいかなかった。
「バルディッシュ、少し痛いの我慢出来る?」
『―――Yes,sir』
 力強く応じる相棒に微笑みを返し、夜の帳を切り裂くように金の少女は漆黒の外套を翻した。
「いくよ! バルディッシュ!」
『―――Arc Saber』
 それは先程防がれたばかりの呪文。
 この展開は予想外だったのか、ヴィータは僅かに困惑しているようだ。
 それならば好都合だと意識を更に鋭く絞っていく。
 同時に、バルディッシュをサイズフォームからシーリングフォームへ変形させた。
 このフォームは本来、大規模な魔法を発動する際に用いる形態なのだが、ミッドチルダに戻った際にとある改良を施してある。
 実戦は愚か、テストすらしていない文字通りのぶっつけ本番。
 背筋を冷たい汗が流れ落ちていく。
(だけど、やるしかないんだ……!)
 弧を描きながらターゲットに向かって飛んで行くアークセイバーを一瞥し、フェイトは新たに二つの魔法を発動させた。
 一つは“ラウンドシールド”と呼ばれる、範囲こそ狭いものの強固な防御力を誇る防御魔法。
 この呪文は少女の使える防御魔法の中でも最も耐久性に秀でたものだった。
 これをシーリングフォーム―――槍状に変形したバルディッシュの刃先を覆うように展開させ、すぐさま二つ目の魔法を行使するべく意識を集中させる。
 それと同時に、ヴィータの数メートル手前で迫っていたアークセイバーを自壊、その場で爆発させた。
 フェイトの魔力資質である雷を伴った爆煙が少女の視界を奪い、一時的にその動きを静止させる。
「目晦ましかっ!? 卑怯な真似しやがって!」
 少女の怒声を聞き流し、意識が飛ばないよう奥歯を噛み締める。
 刹那、バルディッシュのコアにミッドチルダの文字である呪文が表示された。
 そのスペルの名は“ブリッツアクション”。
 フェイトの使用出来る唯一の高速移動魔法であり、その速度は彼女の体が一瞬とは云え、視界から消えたように映るほどである。
 以前は死角を確保する為だけに使用してきたこのスペルもまた、とある人物の戦法を参考にしてフェイトは術式を組み替えていた。
 無論、魔法の術式を組み直すなんて高度な芸当は彼女一人では出来ないので、母親であるプレシアに手伝ってもらって、ではあるが。
 これを発動する際に気を付けなければならない事は只一つ。
 それは―――絶対に意識を手放さない事。
「―――っ」
 世界が色を失い、音が掻き消える。
 水のように纏わりつく空気を掻き分け、フェイトは着実に相手との距離を詰めて行く。
 少女にとっては長く思えるこの時間も、現実では一秒有るか無いかに過ぎない。
 加速の効果が切れた時、フェイトはヴィータの目と鼻の先まで迫っていた。
「―――ぇ」
 よもや愚直なまでに直進してくるとは思ってもいなかったのか、赤の少女は目を丸くして突貫を敢行した少女を見詰めている。
 そして目前まで迫った対象に目掛けてフェイトは―――
「はあぁぁぁぁっ!」
 裂帛の気合と共に手にした愛槍を突き出した!

☆ 視点がコロコロと入れ替わって判り辛いかと思います。申し訳ありません。

☆ ……ここなら言えるかな? フェイトちゃんは私のよ―――いや、お友達!



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この記事のコメント
おぉ
しかも…連続投稿
思わず
ァハァハ(Д`;)(;´Д)ハァハァ
しちゃいましたぜ!!
2010-04-11 Sun 00:15 | URL | ういっす #t50BOgd.[ 内容変更]
なんと
待ってました、明日勘!

間が空いてしまったなんてとんでもない! 大樹の活躍を見るためなら2ヶ月は待てますよ!

番外編とは別の終わり方とのことですので、番外編の方の勘違いが見れるかは分かりませんが、たとえ無かったとしても、それに代わる素晴らしい勘違いをネクオロ様なら提供してくださるはず!

次回も楽しみにしてます!
2010-04-11 Sun 00:54 | URL | ミッキー #OekWInOo[ 内容変更]
すばらしぃ
待ってました!!!

2話連続……なんて贅沢なんだ!?
これからの大樹の活躍を見せてもらえるなら2ヵ月待てばいいなら
待ちますとも!!!

これから広がるであろう勘違いの輪…想像するだけでワクワクしてきますヨ!!
ネクオロ殿はそんな自分の想像すらも超えてより良い勘違いを提供してくれるハズ!
2010-04-11 Sun 13:10 | URL | asakura #-[ 内容変更]
No title
更新お疲れ様です!
まさかのパラレルワールド?
今回もかなり楽しませてもらいました!
毎回更新を確認してよかった。
これからも執筆頑張ってください!
素敵な時間をありがとうございました★
2010-04-11 Sun 13:49 | URL | 信号ネコ #-[ 内容変更]
ををを!

待ってました!ついに明日勘始動ですね!

今回はいかに大樹が勘違いされていくのか、今からまた楽しみが出来たのが嬉しい!



・・・遠慮しなくても嫁って言えばいいのにwww
2010-04-11 Sun 17:07 | URL | omoro #-[ 内容変更]
続きが来た~。
 ついに、番外編で過ぎ去った過去になっていたやたらとカッコイイ彼の本当の姿が…。最近発見したラリカといい、水面下の白鳥の脚のように頑張っているけど、結局、伝わっていないという展開が好きです。
2010-04-11 Sun 17:45 | URL | 凡士 #-[ 内容変更]
遂に来た!
やった、遂にネクオロさんがA’S編を書いてくれた!? 番外編とは異なる結末……。 果たしてどの様な終焉になるのだろうか……。 いや…例えどの様な結末であろうと、大樹は多くの人の心を動かすのでしょうね。 そしてさっそくフェイトがブリッツアクションで大樹のブースト魔法の真似してるのに驚いた(笑) 大樹本人の知らない所で彼が他者に与えた影響は大きいなぁ。
2010-04-12 Mon 08:37 | URL | ベリウス #VSnRaRv6[ 内容変更]
No title
来た!明日勘きた!これで勝つる!

ヒーロー大樹の活躍がまた見れるかと思うとわくわくします。
番外編とは別、ってことはまた別の大団円が待っているのでしょう。
なんてったってヒーローですから。大樹は。
2010-04-12 Mon 17:05 | URL | 五月病 #d/CpiV46[ 内容変更]
どうなることやら…
やったね。明日はラーメンだ!
番外編の様な口から血が出る程の勘違いになるのかそれ以上の勘違いLVMAXとなるのか。
今から楽しみです。
では、
2010-04-14 Wed 23:53 | URL | #-[ 内容変更]
やったねふぇいとちゃん。家族が増えるよ!

もしも大樹に子供ができたら、その子も勘違いされるのでしょうかね?
2010-04-30 Fri 08:10 | URL | トマトクン #-[ 内容変更]
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