ネクオロでした
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告
明日勘。第七話。
2011-02-06 Sun 21:29

もう何も怖くない。


「私はリンカーコアから魔力を取られちゃったから、しばらく魔法は使えないんだよね。治るまでどのくらい掛かるか判る? フェイトちゃん」
「ドクターが言うには三日ほどで元に戻るだろうって。本当ならもっと魔力を抜かれていたんだろうけど……」
「大樹さんが助けてくれたんだよね。うん、やっぱりちゃんと会ってお礼を言わないと」
 なのはが確認するように頷く。
 大樹は否定するかもしれないが、彼のおかげで彼女が助かったのは覆しようのない事実だ。
 なのははそれをちゃんと伝えたいと考えていた。
 即ち、貴方の力で助かった命がここにはある、と。
 いや、自分だけじゃない。
 ここには―――この世界には、大樹が救った命、そして未来が数多く存在している。
 その事を青年が少しでも理解してくれれば、彼の背負った重荷も多少は軽くなるかもしれない。そう考えていた。
「でも……強かったよね、あの人達。見た事のない魔法も使っていたし」
「うん。大樹は“古代ベルカ式”だって言ってた。カートリッジで魔法を強化しているんだって」
「カートリッジ? あ、じゃあ大樹さんが使っている魔法もそのベルカ式ってやつなのかな?」
 なのはの言う通り、大樹のデバイスであるガルウイングも背のシリンダー内に弾丸状の機構を搭載していた。
 カートリッジシステムには、一時的に魔力を底上げする効果があるという。
 魔力の低い彼にとって、この装置は必要不可欠な代物だったのだろう。
 フェイトはなのはの問い掛けに「たぶん、そうだと思う」と告げ、次にあの四人の魔導師について感じた事を口にする。
「あの剣を使う女の人なんだけど、今のままじゃ近付かれたら歯が立たないと思う。距離を取ろうにもあの人、すごく速かった」
「うぅ、フェイトちゃんが追い着けないなら私じゃ絶対に無理だよ。えっと、フェイトちゃんはあの赤い服の女の子とも……戦ったんだよね?」
「うん。あの子はなのは程じゃないけど、すごく防御が硬いんだ。それに一撃が重い。同じ手は通用しないだろうし、私とバルディッシュじゃ相性が悪いかもしれない。あの子の障壁を抜くには、なのはの砲撃か大樹のブーストしかないと思う」
 高速戦闘を得意としているフェイト。
 それに対し、あの少女は強固な障壁で攻撃を受け止め、カウンターで放つ重攻撃でトドメを刺す戦法を好むようだ。
 一撃の重さよりも手数の多さで敵を翻弄するフェイトとの相性は決して良いとは言えないだろう。
 その点、得意とするレンジの違いこそあれ、なのはと少女の戦闘法は似通っているところが多い。
 むしろ、相手が近~中距離に特化しているならば、アウトレンジから一方的に砲撃できるなのはの方が勝算は高いだろう。
 問題は彼らの方が攻撃力及び防御力に勝っている点か。
 なのはの障壁をもってすらあの赤服の少女の一撃を防ぎ切る事はできなかった。
 仮に同じものをフェイトが受けた場合、一発で戦闘不能に陥る可能性がある。
 厄介なのは術者の能力が高い上に、魔力をブーストできるカートリッジという奥の手を彼らが有しているだった。
 だからといって、はいそうですかと諦めるつもりなど欠片もないのだが。
「そっか。話し合いで解決できればいいけど……今のままじゃちょっと難しいかな。よし、それじゃあ、あの子の相手は私だね。フェイトちゃんはあの剣士の人?」
 一瞬悲しげに顔を歪め、なのはがフェイトに尋ねる。
 こちらに非があるのなら謝ればいいのだが、どうも今回の一件はフェイトの時とは状況が異なっているような気がした。
 話し合いの場を持つ事ができればまだなんとかなるかもしれないが、一度戦端が開いてしまった以上そうすんなりとはいくまい。
 不可抗力とはいえ、大樹が彼等をやっつけて追い払ってしまったのもある。
「そうなる、かな。アルフ達も協力してくれると思うけど、まだ他に最低二人はいる筈だから、これ以上戦力を省くとまずいかもしれない」
 顎に手をあて、フェイトは考え込む素振りをみせる。
 彼女のいう二人とはアルフと戦っていた青い使い魔、そしてなのはから魔力を抜いた魔導師の事を指している。
 白兵戦に限定すればフェイトにも匹敵する技量の持ち主のアルフと互角以上に打ち合う使い魔。
 リンカーコアから直接魔力を蒐集するという離れ業をやってのけた謎の魔導師。
 どちらと相対するにせよ、楽観視など到底できそうにない。
「アルフは多分、あの使い魔と決着を着けたいんだと思う。あいつだけは殴ってやらないと気が済まないって言ってたから。そうなると問題は―――」
「ああ、その件については心配ない」
 フェイトの言葉を遮ったのは、クロノだった。
 その隣には人間体のユーノの姿もある。
「ユーノ君! クロノ君!」
「ごめん、なのは。色々あって見舞いに行くのが遅くなっちゃって……」
「えへへ、いいよ。こうやってちゃんと来てくれただけで十分だよ!」
 申し訳なさそうに縮こまり、頭を下げるユーノ。
 それに対し、なのははニコニコと笑顔を浮かべながら明るい言葉を返した。
「そういって貰えると助かるよ」
「ユーノ、大樹は……?」
「大樹さんならまだ眠ってる。ドクターがいうには、体よりも頭が休息を欲しているんだろうって。これは推測に過ぎないけど、ナノマシンからの命令を大樹さんはずっと拒否し続けていたのかもしれない。あの時、本当に暴走していたんだったら、なのはを助けようって考える事はできなかったと思うんだ。でも、大樹さんはなのはをこうして助けたし、なのはの言葉にも耳を貸した」
 そこまで告げて、ユーノは憂鬱な気持ちを押し出すように大きく息を吐いた。
 アースラ医療班の調査の結果、青年の体に注入されたナノマシンは血管を通って体の至るところを巡っている事が判明した。
 当然、それは頭―――脳も例外ではない。
 血液から取り出したナノマシンは経年劣化が激しく、またその製法も極めて特殊なものだった為にまともな解析をする事ができなかった。
 彼等に判ったのはナノマシンが大樹の体の治療を行っている事、そしてこの機械群がはるか古代に製造されたという二点のみ。
 これを調べる事で暴走の呪縛から青年を解き放とうとしていた医療班の落胆ぶりは凄まじく、皆一様に暗い顔をしていた程である。
 ユーノの言葉を継ぐように口を開いたのはクロノだった。
「リミッターを外して目に映るもの全てを破壊する、それが“暴走スイッチ”の目的だとすれば、今回の件で見せた大樹さんの動きはあまりに無駄が多過ぎる。こういう言い方はしたくないが、彼程の力があれば彼等を文字通り殲滅する事もできた筈なんだ。ところが蓋を開けてみれば、怪我人こそ出たものの双方に死者は出ていない。ブースト魔法を使わずにバインドを多用していた点からも、恐らく彼は―――」
「抵抗していた?」
 フェイトの問い掛けに、クロノがコクリと頷いてみせる。
 彼がなのはと―――彼女から魔力を奪っている魔導師に向けて発した「今の俺は色々と限界なんだ。自分でもどうなるか判らない」という台詞は、これ以上はナノマシンに抵抗できなくなるという意味合いを持っていたのだ。
 それならば、あのあと大樹が赤服の少女にしようとした行動も納得できる。
「それで、ここからが本題なんだ。艦長と話し合った結果、大樹さんを以後の任務から外そうという事になった。万が一、彼が暴走してなんらかの被害をこちらに与えた場合、僕らは時空管理局の一員として大樹さんを捕らえなくてはならない。そうなってしまえば……特殊な経歴を持つ彼を、本部は放っておかないだろう」
「…………」
「…………っ」
 なのはとフェイトが黙り込む。
 口にこそしなかったが、クロノの言いたかったのはつまりこういう事だろう。
 管理局に捕まった大樹はかつてそうされたように、再び科学者のモルモットにされてしまう、と。
 時空管理局が法の番人を自称しているといっても、組織である以上一枚岩ではいられない。
 リンディを始めとした良識者もいれば、自身の信じる正義の為ならば人体実験も辞さないという強硬派が席を置いているのも覆しようのない事実だった。
 フェイトとアリシアの母親であり、天才魔導師でもあるプレシア・テスタロッサが封印処置を施されずに指定地区での監禁という甘い刑で済んでいるのも、その強硬派からなんらかの圧力が加わったからではないかとリンディ達は見ている。
 まあもっとも、個人で管理局相手に大立ち回りを演じてみせたプレシアに、頭でっかちの彼らが智謀で対抗できるわけがないので放任しているが。
 しかし、竹中大樹という人間は彼女とは違う。
 きっと、青年は抵抗一つせず受け入れるに違いない。
 迷惑を掛けた事を悔やみながら、一方的に背負わされた重すぎる罪を償い続けるのだ。
 その死なない体に継ぎ接ぎだらけの心を押し込めて。
「……うん、私は賛成かな。もう大樹さんにあんな辛い想いしてほしくないから。大樹さんの分まで私が頑張るよ!」
「私もなのはと同じ気持ち。大樹が無茶をしたのは私達の為、だから今度は私が大樹を助けるんだ、絶対に」
 二人の魔法少女が揃って首を縦に振った。
 なのはは逡巡の後に、フェイトは瞑目しながら。
 その瞳に確固たる意思の光を宿して、なのはとフェイトは己が決意を口にする。
「大樹さんが抜けた穴は武装局員で補う事になっている。幸いにもレティ提督から一部隊丸ごと借り受ける事ができたから、うまく行けば君達の手を借りずに事件を終わらせる事もできるだろう。そして、僕も艦長もそうなるように全力を尽くすつもりだ」
 フェイトは兎も角、なのはの立場は依然として民間協力者だ。
 その彼女が魔導師の襲撃を受け、魔力を奪われた挙句に負傷した。
 この事実をリンディは重く受け止めていたのである。
 ジュエルシード事件の際、可能な限り交戦を避けていたフェイトと違い、あの魔導師達は無差別に、かつ積極的に魔力を持つ者を襲っている。
 このままなんの対策もしなければ、再びなのはが襲われる可能性も十二分に考えられた。
 そこでリンディは旧知のレティ・ロウランに連絡を取り、武装局員を貸してもらえるよう交渉したのだ。
 ただでさえ慢性的な人手不足に頭を抱えている管理局。
 その中でもエリートしかなる事のできない武装局員は、管理局にとって虎の子といっても過言でない代物だった。
 だからこそ、レティも最初は渋っていたのだ。
 いくら旧知の間柄とはいえ、これは一個人の判断でどうにかしていいレベルを逸脱している、と。
 しかし、リンディが口にしたある単語を耳にした途端、彼女の態度は一変する事になる。
「だけど、相手は“闇の書”の騎士達だ。どれだけ万全を期しても無駄じゃない。念の為、なのはにも待機してもらう事になると思うからよろしく頼むよ」
「う、うん。それはいいんだけど……クロノ君、“闇の書”ってなに?」
「一連の事件、それの中心にあるロストロギアの名称だ。転生機能と無限再生機能を持った破壊不可能な融合型デバイス。他者のリンカーコアを喰らい、頁を埋める事によってその力を解き放っていく―――まさに悪魔の遺産だ」
 なのはの疑問を受けたクロノは表情を押し殺すように、淡々と判っている事実を並べていく。
 彼の発したある単語に、少女は過剰に反応した。
「コアを喰らう? えっ!? 食べちゃうの!?」
 目を丸くし、怯えるように自分の胸に手をあてる。
 この中で唯一魔力を奪われた彼女にとって、クロノの告げた「喰らう」という単語はインパクトがありすぎた。
「いや、そうじゃない。うん、言い方が悪かったかな。正確には“蒐集する”だ。闇の書は魔力の源、リンカーコアから魔力を蒐集する能力を持っているんだ。なのはがされたのもこれ。そして、蒐集した魔力量によって復元される頁数は変動する。君ほどの魔力の持ち主なら……そうだな、少なくとも数十ページは埋まったんじゃないだろうか」
 闇の書の総頁数が666だという事も合わせて説明しておく。
 666という数字は一見すると多いように思えるかもしれないが、一度でも闇の書と関わった事がある者は知っている。
 その先にあるのが“絶望”でしかない以上、数はなんの慰めにもならない事を。
「それ、ページが全部埋まったらどうなるの?」
 私のせいで、と落ち込みそうになるなのはの肩を抱いてフェイトが尋ねる。
 自分も時空管理局の一員だ。
 闇の書に関わる以上、情報は可能な限り入手しておいた方がいい。
 彼らがこちらを倒す事ではなく、魔力を奪うのを目的としているのならば尚更だった。
「管理局のデータで調べた限り、蒐集を完了した闇の書は一つの例外なく暴走している。それがマスターの意思によるものなのか、はたまた闇の書のプログラムによるものなのかは判っていない。でも……これだけは言える」
 そこで一度クロノが言葉を区切る。
 なにか辛い光景を思い出しているのか、その顔は悲しみと怒りで彩られていた。
「あれの―――闇の書の完成だけは絶対に阻止しないとダメだ。あれが完成してしまえば、多くの人の命が失われる事になる。そしてそこからまた新たな悲しみの連鎖が始まってしまうんだ」
「そこで問題になるのが、闇の書に備わっている転生機能と無限再生機能だね。この二つがある限り、僕らが闇の書を破壊するのは不可能なんだ。そうなると、自然と僕らが取れる方法も限られてくる」
 ユーノはあらかじめクロノから説明を受けていたのだろう。
 捕捉するように、闇の書に関する情報を判り易く提示していく。
「ああ。詳しい説明は後日艦長からあると思うけど、僕らが闇の書に対してとる手段は、マスターの確保及び闇の書の封印だ。例え破壊する事は無理でも封印する事ならできるからね。マスターを捕まえる事さえできれば、一気にこの事件を解決する事ができる。でも、そこで障害になってくるのが―――」
「あの魔導師さん達、だよね?」
「そういう事だ。闇の書のマスターを確保しようとすれば、必ずあの騎士達“ヴォルケンリッター”の妨害が入る」
 なのはの確信めいた疑問に応じたのは、クロノだった。
 彼の口から飛び出した聞き慣れぬ単語に、ユーノ以外の面々は揃って頭に疑問符を浮かべる。
「ヴォルケンリッター……? それがあの人達の名前なの?」
「そうだ。現時点で確認されている守護騎士の数は四人。その全てが古代ベルカ式魔法の使い手だ」
「古代ベルカ式、大樹が言っていたやつだ。接近戦を挑む時は気を付けた方がいいって」
 事実、近接戦を得意とするフェイトは女剣士の一撃の前に成す術もなかった。
 強固な筈のデバイスは一刀両断にされ、自己修復が困難になるほどのダメージを刻まれたのだ。
 現在、バルディッシュはなのはのレイジングハートと共に、管理局のメンテナンス部に送られて部品交換を受けている。
 尚この時、彼らはメンテナンス部に在籍する一人の女性にある提案を持ち掛けているのだが、今のフェイトにそれを知る術はなかった。
「古代ベルカ式魔法、かつてミッドチルダ式と次元世界を二分する勢力を誇っていた魔法体系だね。ザッと調べてみたんだけど、僕達の扱うミッドチルダ式と違って、カートリッジを用いたアームドデバイスという特殊なデバイスを使うみたいだ。今でも根強い使用者がいるようだけど、カートリッジシステムの扱い辛さもあって本当に極少数らしいよ」
「ユーノ君、大樹さんが使っているのも古代ベルカ式なんだよね?」
「うーん。どうだろう? 確かにガルウイングにもカートリッジシステムは組み込まれているみたいだけど、ブースト魔法自体はミッドチルダ式を元に構成されているみたいだし。あえてジャンルに当て嵌めるのなら……近代ベルカ式、になるのかな」
「もっとも、彼の場合はカートリッジを魔法の強化でなく魔力の底上げに使っているんだろう。付け焼刃に過ぎないとはいえ、魔力を引き上げるのにカートリッジシステムは有効な手だから。ブースト魔法を多用するのもそこに理由があるんじゃないかと僕は睨んでいる―――っと、話がズレたな」
 いつの間にか脱線してしまった話題を本来のレールに戻すクロノ。
 どちらにせよ、リンディの説明があるのはなのはの体調が戻ったあとになる。
 本当はもう一つ、あの守護騎士達に関する重大な報告があるのだが今伝えるのは躊躇われた。
「フェイト、君はなのはの傍にいるといい。長い間離れ離れだったんだ。積もる話もあるだろう。ユーノ、君はどうする?」
「僕も一度戻るよ。闇の書とそのマスターについて、可能な限り調べておきたいからね。情報はいくらあっても困らないから」 
 そういって、ユーノが苦笑してみせる。
 この時点で彼はアースラで調べられるだけの情報を掻き集め、纏め上げて提出していた。
 ユーノがこの場に残らなかったのは、二人の時間を邪魔したくないと考えたからだった。
「あ、ユーノ君、大樹さんにはいつ会えるようになるのかな? できれば早く会いたいんだけど……ごめんね、無茶な事ばかりいって」
「はは、いいよ。なのはの気持ちは僕にも判るから。ドクターがいうには、明日には目を覚ますだろうって」
「そっか。良かった。でも、大樹、納得してくれるかな……。皆が頑張っている時に一人だけなにもできないって、すごく苦しい事だから」
 フェイトがポツリと零した瞬間、場の空気が一気に重くなった。
 少女がしまったとばかりに口を押さえ、周囲に怯えた視線を向ける。
 しかし、帰って来たのは苦笑にも似た同情の瞳だった。
 口にこそ出さないものの、皆一様にフェイトと同じ事を思い、考えていたのだ。
「……うん。そうだよね。大樹さん、自分のせいでって思ってるだろうし」
 一方的に迷惑を掛けて、その尻拭いを周りに押し付けてしまった。
 あの青年の事だ。恐らく、そう考えてしまうだろう。
 その時の事を想像し、二人の少女の表情に影が差し込んだ。
 体だけでなく心まで弄られて、気の遠くなるような歳月を経た今でも負の鎖が彼を縛り付けている。
 いったい大樹がなにをしたというのか、神はどこまで残酷な試練をあの優しい青年に課すのだろうか。
 溢れ出そうな気持ちを抑え付けるように、なのはは唇を噛み締める。
 そして、一時とはいえ彼に対して恐怖心を抱いてしまった事に対し、心の底から申し訳なく思うのだった。
「彼への説得は艦長に頼んである。辛いだろうけど、ここは我慢してもらうしかない。こういう言い方はしたくないけど、これも大樹さんの為なんだ」
 クロノも完全に割り切れてはいないのだろう。
 その言葉とは裏腹に、苛立ちを表すように眉根を顰めている。
 青年を戦場から遠ざける事に対しての怒りではない、これは彼の生を冒涜した者に対するものだ。
「どうしてかな、どうして大樹さんがこんなに辛い思いをしなくちゃいけないのかな……」
 ここにいる皆の心情を代弁するように、なのはがそう呟いた。
 その直後だ。
 なのは達のいる医務室に、血相を変えたエイミィが飛び込んできたのは。
 闇の書が動き出したのかと身構える一同に対し、彼女が発したのはその斜め上を行く―――そしてなにより、信じられない一言だった。
「た、大変よ!? 大樹さんがどこかに行っちゃったの!」
 こうして物語は新たな展開を迎える。

* 優しいなのは嬢らしくない気が……うーん。もう少し悩ませようかとも思いましたが、不意打ちされて魔力抜かれたらいくら何でも戦う気になるかなと、と。戦うといってもお話を聞いてもらう為の戦いなわけですが。





別窓 | 明日勘 | コメント:12 | トラックバック:0
<<明日勘。第八話。 | 後悔すべき毎日 | 零の使い魔。 ~聖十字の騎士 第二十七話~>>
この記事のコメント
No title
>もう何も怖くない。

怖い! 怖いよ! フラグすぎて!!
2011-02-06 Sun 22:13 | URL | ならさ #Ciov6gVM[ 内容変更]
No title
更新来た!
と、思ったら。大樹の出番が無い、だと。まぁた次回まで焦らされるゼェ。
と、思ったら。最後の最後にエイミィからの爆弾発言。っちゅうのかなコレも。
まぁ次回までジリジリするという結果は変わらないわけですが。
流石ネクオロ氏は子悪魔やでぇ。

今回は嵐の前の……ちゅうお話でしたね。もう一話くらい静けさがありそうですが。
こういうのも必要ですよね。毎回波乱じゃ疲れますので。大樹が。

更にいえば、既にして作品のスタンスはブレずに認識されてるので。
毎話勘違い要素を放り込む必要は無いのですよね、この作品は。
大樹の登場は無くとも、齢9歳にして妄想力に溢れた少女、が話を広げてくれますし。

もはや、ハシが転がっても評価が上がりかねない主人公。
我らが大樹サンに祝福あれ。
更新お疲れ様でした。
2011-02-06 Sun 22:20 | URL | kt #-[ 内容変更]
>もう何も怖くない。


新しいトラウマがががががが。

いくら虚淵さんが関わってても、あれはあんまりだよ……。

さて、今回、ついに公式認定された大樹改造人間説、明らかにガルウイングの仕業ですほんとうに(以下略

いつかなのは達が言ってたたとえ身体が不死身でも、心はそうじゃない。
ほんと、こんな痛い設定を周囲の皆に信じられたら、自分は間違いなく心折れますwww

まぁ、ようやく戦線離脱出来るから良いかと思ってたら、行方不明……。

あれ、なんだろ。事情が全く判明してないのに、なんかモニターが霞んで見えない。
2011-02-07 Mon 14:27 | URL | ミッキー #OekWInOo[ 内容変更]
No title
もう何も怖くない。

何この惨殺フラグwww

なんと言うか深刻な話になってますね。何故か大爆笑してしまいますが。
消えた大樹の出番が待ち遠しくてWktkして次回をお待ちしますw
2011-02-07 Mon 15:01 | URL | omoro #-[ 内容変更]
No title
 何と言うシリアスストーリー(笑)。
 ここに初めて訪れた新規読者が見れば大樹はシリアスなオリ主ですよね。ナノマシンの件はガルウイングの独走っぽいし。他の理由だとしてもカッコ笑の気が……

 それにしても相変わらず面での評価が高過ぎるww
 これなら最終回とかでただの人間だと解っても、ナノマシンが完全に抜けて人間に戻れたんだっっ とか言われそーww

2011-02-07 Mon 16:48 | URL | クレイ #aYDccP8M[ 内容変更]
No title
「もう何も怖くない」だと…?

いいえ、もっと怖いラスボス化フラグが待ってますw(ぇ
2011-02-07 Mon 18:23 | URL | ぬこ #-[ 内容変更]
No title
>>どうしてかな、どうして大樹さんがこんなに辛い思いをしなくちゃいけないのかな……
う~ん、なんというかそういう星の元に生まれたというか、主にガルウイングのせいというか・・・
>>彼には辛いだろうが
いや、君達、彼はすごく喜ぶと思うよ、というかナチュラルになぜ自分が戦うことになっているのだろう?と冷や汗かくよ。
実はエリートな武装隊、技術畑のプレシアさんに瞬殺されようとエリートな武装隊、ついこの間魔法に出会った9歳の女の子以下だろうとエリートな武装隊。負けるな武装隊!頑張れ武装隊!僕はそんな悲しきモブの君たちが好きだ!

しかしこれはあれだな、大樹が「俺はただの人間なんだ」と言ってもどこぞの大魔導師の臆病で弱っちいただの人間さといったような扱いになるな。
そしてどこ行ったのだろうか彼は、またトイレかな?
2011-02-07 Mon 20:09 | URL | とうや #m0CKp2NY[ 内容変更]
No title
>もう何も怖くない
劇場版ガンダムOOかな?はっ!彼がメタル化するのか!?などとアホな考えが浮かんだり。
もう彼は普通の人間として見てもらえないのか。いろんな意味で悲しすぎる。
A‘sとしてのストーリーは序盤なのに、大樹関連では最初からクライマックスになってるwwこれからの展開にも目が話せませんな。
2011-02-07 Mon 20:52 | URL | zero #xZf17LbY[ 内容変更]
感想~。
恐らくガルウイングの仕業だと思われるが本人の知らぬ所でナノマシンを打ち込まれてる大樹マジ涙目。 一体大樹はどこまで勘違いが一人歩きして行くんだろうか……。 続きが非常に楽しみです。

2011-02-08 Tue 00:06 | URL | ベリウス #VSnRaRv6[ 内容変更]
No title
ガルウィングがナノマシン打ち込んだのを前提で話を進めると、
その理由はきっと、いやいや、絶対にどうしようもなくしょうもない理由に違いない。
少なくとも大樹が有難迷惑と思うような理由が・・・
2011-02-09 Wed 00:57 | URL | dant #DHiWGXHI[ 内容変更]
ギャグなのにダークシリアスとはこれ如何に
なんと言うか、いったい彼は何処まで行ってしまうのでしょうね。
あくまで本人には何の影響も無く、正義に目覚めたり強い決意したり
そんなことした訳でもないはずなのに、まわりの評価のみが爆走する。
そんな中での行方不明…行き先はギル・グレアムか、八神はやてか。
意表を突いて、プレシア&アリシアかな?
なんにしても、次の更新を心待ちにしています。
2011-02-26 Sat 21:34 | URL | メギド・オブ・ベリアル #W96IPxTY[ 内容変更]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2011-07-31 Sun 06:10 | | #[ 内容変更]
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら


| 後悔すべき毎日 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。