2011-03-13 Sun 22:12
やっと、やっと思い出す事ができた。俺の正体、俺の目的、そして―――俺が倒すべき敵を。 そうだ。俺は古代ベルカで作られた人造魔導師、そのプロトタイプだったんだ。 目的は確か融合機とのシンクロ率調査だったか。 気の遠くなるほど昔の事だから記憶が磨耗していてあれだが、体内のナノマシンは俺がバカやっている間もまともに稼動していてくれたようだ。 これは俺の機能を維持するだけでなく、あまりに高すぎる魔力にリミッターをかける役割も持っている。 本来の俺の魔導ランクはSSS。本気を出せば、一人で管理局を掌握できる。 ―――いや、まあ個人が組織に敵うわきゃないんだけどね。 はい。そういうわけで、明日勘本編始まります。 『申し訳ありませんでした、マスター』 「なんだよ藪から棒に」 意識を失ってから二日後(らしい)、俺は時空管理局本部という怪しげな場所で目を覚ました。 さっきまで医者がやってきて色々と質問していたわけだが、結局「よく判らない」の一言で押し切ったりもした。 正直、ナノマシンとかどうとか言われても困る。 こっちの世界じゃそれが普及しているのかもしれないけど、ウチらの世界じゃ夢のまた夢である。未来の道具なのである。 さて、病室に誰もいなくなり、ようやくゆっくりできると思った矢先にガルウイングの謝罪だ。 コイツが素直に謝ってくる時は大抵ろくでもない事を起こした後なわけだが、今度はいったいなにをやらかしたんだろう? 『マスターの怪我を治療する為とはいえ、了承を得ずにナノマシンを投与してしまいました。この罰はいかようにも』 その声音から判断するに、ガルウイングは本当に申し訳なく思っているようだ。 いつもの謙虚の皮を被った傲岸な態度はすっかり薄れ、もしもコイツが人間だったら平身低頭しているところだろう。 ベッドの隣に置かれた台座、その上にガルウイングは置かれていた。 まだダメージが完全に修復されていないのか、灰色の球には細かな傷がいくつか浮かんでいる。 どれだけボロボロになろうと丸一日経てば直っていたコイツが、二日経った今でも傷を抱えている。 この時点で自分がどれだけやばかったのか大体は理解できた。 「ああ、あのドクターが言っていたのはそれの事だったのか。……いや、それって俺を助ける為に入れたんだろ? だったら感謝こそすれ、怒る理由なんてないじゃないか」 ナノマシンなんて言われてもピンと来ないが、怪我の治療の為にやむを得ずならば仕方ないだろう。 自分でもあの時無茶したのは判っているし、その反動で酷い目に遭った事もうっすらと覚えている。 ここでこうしていられるのがそのナノマシンのおかげならば、神棚で祀り上げても構わない。 『マスター……』 ガルウイングが感動しているかのように声を震わせる。 人間味溢れるといえば聞こえはいいが、人間臭すぎるデバイスというのもいかがなものか。 出会った当初はまだ多少機械っぽさが残っていた気もするが……まあ、皆に受け入れられているのなら別にいいか。 それにしても、さすがは時空管理局の本丸。 病室一つとってもこちらの世界のそれとは大違いだ。 向こうなら間違いなく包帯とギプスでガチガチに固められていただろうに、まさか寝巻き姿でいられるとは思わなかった。 シャワーのように天井から光が降り注いでいるのは気になるけど、体が固定されるよりずっといい。 左腕に注射の痕がいくつかあるのは点滴をしていたからだろう。 どれだけ魔法が発達していようとも、こういった部分は変わらないようだ。 「なあ、一つ気になったんだけどさ」 『はい! なんでしょうか! 何なりとお申し付けくださいませ!』 「いきなりテンション上がったな、お前。まあいいか。えっと、そのナノマシンってやつ、それってなんか変な副作用とかあったりしないよな? 回復早くなるのはいいけど、腕が刃物になったり、額から銃が飛び出したり、背中から羽が生えたりするのはゴメンだぞ」 ナノマシンと聞くと、どうしてもそのあたりの心配をしてしまう俺は漫画の見すぎかもしれない。 回復力が早まるのも限度があるよなって思う。 切り落とされた腕が数秒で生えてくるとかだとさすがに引く。本人は兎も角、見ている方が引く。 『その点は問題ありません。マスターに投与したナノマシンは私が以前使用していたものと同型ですので、安全性は折り紙付きです。このタイプには出血を抑え、患部の治療を行う以外の機能はありません。投与後、十年ほどで体外に排出されるので副作用の点に尽きましても御安心ください』 「十年って結構長持ちするのな、それ」 一度切りの使い捨てかと思ったが、俺の思っていた以上に経済的な仕様らしい。 ガルウイングから告げられた効用も俺好みの地味仕様だったし、至れり尽くせりである。 そういや、あっさり聞き流してしまったけど、今コイツ結構重要な台詞を言ってなかったか? 自分が以前使用していたとか何とか。 それが事実なら、デバイスにも使用できるナノマシンってわけか。ぱねぇ。さすがはアルハザード製といったところか。 うん……アルハザード製なんだよな、コイツ。 ここは管理局の本部で、ここにロストロギアっぽいデバイスがあって、俺が居て。 取り上げられる事も調べられる事もなく、こうやってコイツと会話できているのって案外すごいんじゃあなかろうか。 大方、リンディさんあたりが裏から手を回してくれたんだろう。 前に言ったかもしれないが、あの人にはホントに頭が上がらない。 どうして魔導ランクDの俺にここまでやってくれるのか判らないけど、これは菓子折り一つ持っていくだけでは済まされないレベルだ。 時々、なのはちゃんの御実家にして海鳴町一美味しいと評判の菓子屋“翠屋”でシュークリームを買って届けたりもしているが、恩だけが雪のように積もっている気がする。 『いえ、これでも短い方です。最長で1000年は稼動するだろうものがアルハザードでは開発されていましたから。もっとも、それを実証するだけの時間は残されていませんでしたが』 「ふーん」 1000年ね。気の長い話だ。 過去を振り返りすぎてもダメだけど、未来を見過ぎてもダメだって事だよな。 結局、目前まで迫った危機を防げずにアルハザードは滅んでしまったみたいだし。 だからこそ、俺は前方数メートルを意識しながら生きていこうと思う。 『それとマスター、もう一つだけナノマシンについてご報告したい事があります。これはあとで判ったのですが、どうやらマスターに投与したナノマシンは経年劣化が激しかったようです。機能に問題がない事は確認済みですが、エラーコードを発信する個体がいくつかあるようです』 「……やっぱ、エラーが出るとやばいのか? 爆発したりするのか?」 『それはあり得ません。あくまでデータ送信用のシステムがエラーを起こしているだけですので。予想されるデメリットは、適切な装置で調査しない限りナノマシンの保有するデータを得るのは難しい、ぐらいでしょうか。ある程度はこちらで管理できますから、マスターに直接的な害が加わる事はないかと思われます』 「それならいいや」 あっさりと会話を打ち切り、天井から降り注ぐ光をぼーっと眺める。 体内で爆発という最悪の展開はないらしいので、ほっと一安心だ。 魔法なんてワケの判らんものと関わっていると、ナノマシンの方が三倍ほど現実的でマシに見えるのは俺だけじゃあるまい。 思い起こせば、つい一年前くらいまで魔法の「ま」の字も知らなかったんだよな。 それが今やこの有様だ。 魔法使いになって死に掛けて、空を飛んで死に掛けて、体当たりして死に掛けて。 ここまで生死の境をフラフラしている奴も珍しいのではなかろうか。 そんな事を考えながら光を見詰めていると、目蓋が重くなってきた。 特に逆らう必要もないので、そのまま意識を委ねる。 『マスター』 「んぁ?」 『いい機会です。リンディ艦長に頼んで、正規のデバイスを入手してみてはどうでしょうか? このガルウイングはあくまである目的に特化した装置です。今まではプログラムの改変によって誤魔化してきましたが、当機のスペックではこれ以上戦闘が激化するとついていけない可能性があります。マスターほどの技量の持ち主ならば、管理局で支給されているデバイスでも十全の活躍ができると思うのですが……』 「いや、いいよ別に。俺はお前でいい。他のは要らん」 本当に今更の話だった。 俺の魔力量じゃ射撃魔法は使えないし、BJだって大した強度は期待できない。 武装局員でBランク、隊長クラスでAランク。でもって俺はDランク。 管理局で量産されているストレージデバイスなら辛うじていけるかもしれないが、連射できない魔法に何の意味があるのか。 その点、ガルウイングに搭載されている魔法はブーストオンリーなので(それもある意味問題だけど)、魔力に乏しい俺でも体当たりとして使用する事ができている。 BJだってそうだ。ガルウイングのBJは金属製のメインフレームを覆うように展開されている。 詳しく聞いていないのであれだけど、そのフレームは何やら馬鹿みたいに硬い材質を使っているらしい。 純粋な物理耐久力ではアースラの表面装甲を上回るとか言っていた気もするが、多分そこまでの強度はないだろう。 でないと、毎回俺がボロボロになっている理由が判らない。 話が逸れてしまったけど、俺が戦場で生きていくにはガルウイングが必要なわけである。 言っている事は支離滅裂で、安全よりも威力を重視するような奴だが、コイツのおかげでこれまで生き残れた点に間違いはないのだから。 意識が闇に落ちる。 その間際、ガルウイングが何か呟いた気がした。グー。 柔らかな光が目蓋を刺激する。 鼻腔をくすぐる甘い香り。頬を撫でる風は優しく、少しくすぐったい。 後頭部に感じる柔らかな感触は……低反発枕か何かだろうか? さすがは管理局。枕一つに置いてもここまでの拘りを見せるとは半端ない。 「いや、それはおかしいだろ」 ツッコミをしながら目を開ける。 目に飛び込んできた光に顔を顰め、ゆっくりとピントが合っていく。 鮮明になる視界。そこに映っていた人物に、俺は思わず驚きの声をあげた。 「ア、アリシア!?」 「うん! おそようございますだね、お兄ちゃん」 くすくすと笑いながら告げるその少女は、フェイトちゃんと瓜二つの容姿を持っていた。 そりゃそうだ。こういう言い方はしたくないけど、彼女はフェイトちゃんの元―――オリジナルなのだから。 異なる点をあげるのならば、背丈がフェイトちゃんよりも低い事ぐらいか。 いやいや!? 問題はそこじゃない。 ガバッと上体を起こし、やはりニコニコしているアリシアを凝視する。 ど、どういう事だ!? どうして彼女が―――肉体を失っている筈の彼女が。 「ひ、膝枕!? なにこの展開、まるでそっちのゲームじゃねーか!? いや、というか……どうして膝枕なんてできるんだ?」 そういう事である。 俺の知るアリシアは魂だけの状態でガルウイングのコアに定着していた筈だ。 後に、彼女の母親であるプレシアとガルウイングが協力する事で、アリシアがくっ付いている部分だけを分離させる事に成功した。 これによって彼女はガルウイングと一緒に行動しなくてもよくなったわけだけど、いつの間に実体化までできるようになったのだろう。 俺の疑問にアリシアはニシシと笑い、人差し指を立てて言った。 「この場所は魔素が特に濃いから、私も普通の人と同じように生活する事ができるんだよ! まあ、お兄ちゃん達の世界に行ったら、また元のスケスケに戻っちゃうんだけどね。お母さんが言うには、“ゆーごうき?”とかの技術を使えばそれもどうにかできるんだって」 「ゆーごうき……。聞いた事ないなぁ。でさ、ここってどこ? どう見ても管理局とかじゃないよね?」 周囲を見渡して首を傾げる。 俺とアリシアがいるのは一本の木の根元だった。 それも普通の木ではなく、幹を囲うようにミッドの魔法陣がいくつも光っているオシャレ仕様だ。 疑問が顔に出ていたんだろう。 アリシアは得意気に「お母さん特製の医療用魔法陣なんだ。この木の側にいるだけで元気になれるの」と教えてくれた。 なるほど。そう言われれば確かに、この木から降り注ぐ光は医務室の天井から浴びせられたそれに感じが似ている。 足元にはシートが引かれていて、どうやらアリシアはその上に座って膝枕していてくれたらしい。 彼女の口から「お母さん」という言葉が出たという事は、向こうに見える小さな家は彼女とプレシアさんの住居だろうか? それにしても綺麗な場所だ。幻想的といってもいい。 木々が適度に生えていて、少し離れたところにはサラサラと流れる小川も見て取れる。 空は気の遠くなるような青空で、陽光が優しく地上に降り注いでいた。 うん、これで空に地球っぽい星やら火星っぽい星やらが浮いていなかったら完璧だったのにな。 真っ先に地球でないと判るとかマジ勘弁。そういう絶望通告は最後までとっておいて欲しかった。 むくりなう。アリシアなう。ここどこなう。 「うーん。お兄ちゃんに教えちゃってもいいのかなぁ? うん、いいよね。隠し事とかよくないし! あのねお兄ちゃん、ここは“独房”なんだよ?」 「ど、独房!?」 アリシアの口から飛び出した物騒な単語に、目を白黒させる。 独房……? ここが? 楽園の間違いだろう? 檻があるわけでもなく、見渡す限り監視員の一人も確認できないここが? 「お兄ちゃん……お母さんが悪い事してたのは知ってるよね?」 「あー。うん、まあ一応は。でも、あの人はホントは良い人だからなぁ。なんだか複雑な気分だ」 怪我している俺を見捨てる事ができず、戻ってきて治療してくれるような人だ。 普段の言動がツン寄りなせいか誤解している人も多いかもしれないけど、俺は知っている。あの人は優しい人なんだ、本当は。 色々と便宜を図ってくれているリンディさんと、命を助けてくれたプレシアさん。 俺はこの二人には一生頭が上がらないと思う。 「でも、悪い事をしたのは事実だから。それは償わなければダメなんだよ。お母さんが私の為に頑張ってくれたのは知っているし、嬉しいけど、色んな人に迷惑を掛けたのも事実なの。お兄ちゃんもいっぱい酷い事されたよね? ……皆がお兄ちゃんみたいに優しい人ばかりじゃないから、誰もが納得できる“罰”が必要なんだ。そうしないと、どうしてあの人だけって思っちゃうでしょ?」 「なるほど。確かに」 アリシアの言葉はひたすらに重かった。 ただ、言っている意味は理解できるし、それが正しい事も判っている。 要するにアレだ。どれだけ背景に同情できる理由があろうと、悪事は悪事。咎には正当な罰が必要だ、というわけだな。 特例で一人だけ許すなんて真似をすれば、他の者が黙っちゃいないと。そりゃそうだ。 なんというか俺の思っている以上にアリシアは大人だったようだ。外見で人を判断しちゃいけないな。 「でもさ、それでも―――」 「うん?」 「俺はプレシアさんを嫌いにはなれないなぁ。うん、そうだ。犯した罪の重さとか俺にはよく判らないけど、それでも俺はあの人が優しい人だと思う事に変わりはないわけだ。っていうか命の恩人だし」 ―――怖いとは思うけど。少しだけ、そう少しだけである。 それに聞いた話じゃ、プレシアさんを体よく利用しようと連中もいたらしい。 アリシアが亡くなる要因になった事件だって、彼女の警告を無視して研究を続行させた結果起きてしまった事故だったようだ。 だからこそ、主犯のプレシアさんの罪こそどうしようもなかったが、フェイトちゃんはかなり減刑されたという話しだし。 管理局にも話の判る人がいるって事だよな、もしくは世論が味方に付いたか。 「えへへ」 「どしたの?」 「ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんのその優しい気持ちが、お母さんとフェイトを助けてくれたんだよね。あ、私もだ!」 満面の笑顔を浮かべながら飛び付いてくるアリシアを受け止め、俺は苦笑してみせた。 実体化しているだけだというのは本当のようで、少女の体は思っていた以上に軽かった。 羽のように軽いという例えがよく使われるが、彼女の場合はまさにそれだ。 「プレシアさんを助けたのはどっちかと言えばバッテリーの力のような気がするな、うん」 虚数空間の影響下にありながら、それでも空を飛んでいられたのはバッテリーのおかげ。 影の功労者は間違いなく彼だろう。 もっとも、あんなブラックホールみたいな代物に関わることなんざ二度とないだろうから、バッテリーさんの出番はもうないだろうけど。 「バッテリー?」 「いや、こっちの話。で、ここって独房なの?」 「うん、そーだよ。ここでお母さんは罪を償っているんだ。あ、もちろん魔法は使えないように封印されてるよ? 魔法さえ使わなければお母さんの病気が進行する事もないってお医者様も言ってたから、私は今の方がいいかなぁ」 「ここが独房なのか……。ウチの世界の人達が知ったら暴動が起きそうだ」 こんな気持ちの良い場所で刑期を送れるとは、なんという羨ましいシステム。 こっちじゃ「臭い飯」とかいう脅しも通じないんだろうな。どこからどう見ても、楽園にしか見えないし。 「それでね、お母さんはここで管理局の依頼を受けてデバイスのプログラムとか作ったりしてるんだよ! デバイスマイスターの資格も持っているから、自分でデバイス作ったり、改造したりもできるんだって! ガルウイングがお兄ちゃんをここに転送したのは、多分それが理由なんじゃないかな?」 あたかも自分の事のようにアリシアは嬉しそうに語っている。 それだけ彼女がプレシアさんを慕っているという表れだろう。 ただ、一部不穏な単語が混じっていたのは頂けない。 「……やっぱりアイツが関わっていたのか」 おかしいとは思っていたので、今更驚きはしなかった。 もしかしたら、アイツが療養するならここの方が良いだろうと気を遣ってくれたのかもしれないし。可能性は限りなく低いけど。 「で、ガルウイングは何してるんだ?」 「えっと、お母さんと大事な話があるって言ってたよ。詳しい事は私にも判らないけど、お母さんにしか頼めない内容なんだって」 アリシアが小首を傾げる。 ガルウイングが悪巧みするのはいつもの事だが、大抵それは自分一人(?)で行っていた。 自ら協力者を求めるとは、いったい全体どういう心積もりなんだろう? 「なんだか嫌な予感がするなぁ」 とはいえ、アレがやる事など大体は想像がつく。 魔法の強化とかだろ、どうせ。 装甲を削って更に高機動化しましょうだなんてほざいている可能性だってある。 ―――っていうかそうだろ、間違いなく。 そうはさせるか。止めに行こうとした矢先、抱き付いたままだったアリシアがぎゅっと両腕に力をこめた。 痛くはないけど、それでも俺が足を止める理由としては十分だ。 「ダメだよ! 時間が掛かるらしいから、お兄ちゃんは私と一緒にお休み! まだ怪我だって治ってないんだからね! 私知ってるんだよ、お兄ちゃんがまた無茶をしたって。お兄ちゃんの事だからなのは達の為に頑張ったんだろうけど……やっぱりお兄ちゃんが痛い思いをするのはやだよ」 頬を膨らませて怒ったかと思えば、すぐにアリシアはしゅんと肩を落とした。 この子はやっぱり優しい。 付き合いの短い俺の事を心の底から心配してくれている。 「俺もできる事なら痛い思いとかしたくないんだけどね」 どう反応していいのか判らず、自ずと困った顔になる。 今回ばかりはどうしようもなかったというか、他の手段が浮かばなかったというか。 意識を取り戻した矢先に、なのはちゃんの負傷通告である。 逃げ出すなんて非道な真似ができる筈もなく、がむしゃらに彼女に駆け寄った結果があれだった。 ガルウイングを放置しておくのは不安だが、ここで強行してアリシアを困らせるわけにもいかないだろう。 傷口が開く可能性だってゼロじゃないのだから。 「アリシアを困らせるのも嫌だし、今はゆっくりしておくよ」 「うんうん。素直でよろしい。ご褒美にハーブティーを淹れてあげるね!」 「うん。どっこいせっと」 溜息を一つ零して、木の幹の側に座りこむ。 シートの上に置いてあったボックスからポットを取り出しているアリシアを横目に、ポツリと呟いた。 「もうちょっとだけでいいから強くなりたいな……」 せめて自分の身くらいは守れるように。 あと、ブースト魔法使っても気を失わないように―――いや、これは無理か。 俺はこの台詞を口にした事をすぐに後悔するのだが、それはまた別の話。 (◕‿‿◕)<拍手して魔法少女になってよ! |
No title
もうワクワクが止まりません
こちらのサイトを見てから一晩で駆け抜けて見させて頂きました。 今後も応援させて頂きたいと思います!
2011-03-13 Sun 22:29 | URL | まよねーズ #mQop/nM.[ 内容変更]
一度に何度もコメすんのはあれかな~、とも思いましたが、申し訳ありません。コメせずにはいられませんでした……。
投与後、10年ほどで体外に排出……つまり、10年間は身体検査のたびに彼はwww そして球を口説いてどうすんだよ大樹www
2011-03-13 Sun 22:51 | URL | ミッキー #OekWInOo[ 内容変更]
なん……だと……!!
冒頭見てびっくり。
本文読み終えてまたびっくり。 なんか色々明らかになったようで、そうでもない。 とりあえずガルウイングがなんか決意したっぽい。→プレシア氏による魔改造。 これからこれから。 全て始まりは彼女?からでしたから。いつもここからガルウイング。 ブーストしても気絶しなくなるのは、正しく生き地獄ですね。 そして気絶ネタで押せなくなる分、書くのも大変そうですね。 ネクオロ氏には問題無いでしょうが。 大樹は顔に出るんですかね。苦痛が。 それはそれでまた勘違いな予感。素敵な予感。 珠を口説く主人公。これは確かに恋人連れてきたら大変ですね。 ヤンタマデレ。もしくは珠姑。あと白いのと黒いのと。 明日勘、更新お疲れ様でした。
2011-03-14 Mon 00:53 | URL | kt #-[ 内容変更]
No title
うすうす思ってはいたけどメインヒロインはやっぱりガルウイングだったか
後アリシアが年上のお姉さん的包容力を発揮している 残念だったなQB!俺は少女でもないし、思春期などとうにすぎさったのさ!だから拍手しても魔法少女にはなれんよ
2011-03-14 Mon 09:02 | URL | とうや #m0CKp2NY[ 内容変更]
神気一転?
結構間に話を挟んだりしてるのに、ナノマシンについてとか
きちっとしてるの凄いと思います。 ざっと見ただけでも、大樹バージョンアップフラグが立ったのは 確かですが、今回のは魔法とかバリアジャケットとかそういう 細々としてモノじゃないっぽいですね。 何となく、外伝の予備デバイス並に謎仕様が増えそうな予感… その性能を楽しみに、更新をお待ちしています。
2011-03-14 Mon 18:27 | URL | メギド・オブ・ベリアル #W96IPxTY[ 内容変更]
No title
前置きに本気で「えっ!?」ってなりましたww
十年後とか(若干へたれた意味で)強くなりたい発言とか、なんだかとてもおいしい勘違いフラグがでてきたような・・・だがそれがワクワクを増大させる!! がんばっ!大樹!!明日はどっちだ!?(ブースト的な意味で)
2011-03-14 Mon 20:58 | URL | zero #yNB.88oQ[ 内容変更]
No title
御騒々しい中での更新、感謝の極みです。
今回も噴きまくりでした。ごっちゃんです! いらんこと呟いてエラい目に遭うのはデフォとは言え、いい加減学習せんかーと。いや、こちらとしてはGJなのですがw ウッカリでブースト、一言こぼしてフォーカス、ならばポツリと呟いて……? あ゛あ゛、続きが楽しみ過ぎて生きていくのが辛いっっ 次回の更新をお待ちしております。 一句浮かびました。 『ちょっと待て その一言で 旗が立つ』
2011-03-14 Mon 21:08 | URL | クレイ #aYDccP8M[ 内容変更]
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2011-07-31 Sun 06:34 | | #[ 内容変更]
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| 後悔すべき毎日 |
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